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2018年11月29日(木)

主張

政府の消費税対策

中小業者を苦しめるばかりだ

 安倍晋三政権が来年10月から強行しようとしている消費税増税に向けた対策をまとめました。すでに決めている食料品などの「軽減税率」導入に加え、キャッシュレス決済での「ポイント還元」、マイナンバーカード利用者の買い物時の「ポイント加算」、「プレミアム付き商品券」など、これまでいわれてきた対策を並べただけです。消費税を増税しながら、巨額の予算を投じて対策をとるなど筋が通りません。政府は消費減や中小業者への対策だといいますが、効果は望めず、逆に中小業者を苦しめるものばかりです。消費税増税の強行は許されません。

専用のレジや体制が必要

 食料品などの消費税率を8%に据え置く「軽減税率」導入は「軽減」でも何でもありません。外食は10%の税率で、持ち帰れば8%になるなど制度は複雑です。飲食施設のあるコンビニやスーパーでの混乱は避けられません。複数税率に対応できる専用レジも導入しなければならない中小業者にとっては大きな負担です。

 キャッシュレス決済でのポイント還元、マイナンバーカードを持っている人へのポイント加算も、キャッシュレス決済やマイナンバーカードそのものが普及していません。とりわけ中小商店の多くはカード決済などに無縁で、カードが使えるコンビニエンスストアなどに客を奪われかねません。

 安倍政権は消費税増税を機にキャッシュレス決済やマイナンバーカードを広げることを狙いますが、中小商店がキャッシュレスなどに対応するには、新たな設備や体制が必要です。中小業者は新たな出費が迫られます。

 公明党が推進する「プレミアム付き商品券」発行は、低所得者などを対象に、例えば2万円で2万5000円分の商品券が購入できるというものです。普段現金で買う分が商品券での購入に置き換わるだけで、消費拡大にはなりません。商品券を使えば低所得者と知られることにもなり、実際は使用をためらうという見方も強くあります。中小商店にとっても商品券を現金化する手間が増えます。

 安倍首相は、ポイント還元は5%で、増税時から2020年の東京五輪までの9カ月間にすると指示しました。「プレミアム付き商品券」発行も「一定期間」としました。五輪終了などで制度が打ち切られたとたん、消費がますます落ち込み、不況に拍車がかかることも懸念されます。

 さらに中小業者が不安を強めているのは増税から4年後の23年10月から導入される「インボイス」です。消費税は売り上げ時の消費税額から、仕入れにかかった消費税額を差し引いて納税する仕組みです。現在は帳簿で処理していますが、インボイス導入後は税額などを書類に明記して取引先に通知することが必要になります。

 年間売り上げ1000万円以下の免税業者はインボイスが発行できません。そうなると取引から排除される恐れがあるため、課税業者になることを事実上強いられます。課税業者になると零細業者も納税しなければなりません。

ごまかしでの強行許さず

 安倍政権があれこれ持ち出す消費税対策では、消費冷え込みの“穴埋め”にならないどころか、中小業者を苦境に追い込むだけです。消費税増税は中止すべきです。


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