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2018年11月18日(日)

ラジオ番組 志位委員長が対談

志位氏「個人の請求権、日本政府も認めているんです」

ロンブー田村氏「えっ、解決しているものかと」驚き

徴用工問題

 お笑いタレント「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが各界の人と対談する文化放送番組「田村淳のNewsCLUB(ニュースクラブ)」に17日、日本共産党の志位和夫委員長が出演し、日ロ領土問題や徴用工問題など焦点の問題から参院選に向けた野党共闘まで軽快なトークを繰り広げました。志位氏の話を聞いて田村さんは随所で驚きの声をあげました。

 韓国の元徴用工4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた裁判で、同社に賠償を命じた韓国大法院(最高裁)判決。日本政府は、1965年に締結された日韓請求権協定で元徴用工の請求権について「完全かつ最終的に解決している」と拒否し、韓国を非難しています。「この判決、政府の見解をどうみますか」とたずねた田村さん。

 志位氏は、徴用工問題が日本の侵略戦争・植民地支配と結びついた重大な人権問題としたうえで、「実は日本政府は、日韓請求権協定を締結したが、『個人の請求権が消滅したわけではない』と何度も国会答弁で認めているんですよ」と語ると田村さんは、「えっ! そうなんですか。すべて解決した問題だとぼくは認識していたんですが…」とびっくり。

 志位氏は、14日の衆院外務委員会で過去の請求権問題をめぐる日本政府答弁を確認した日本共産党の穀田恵二衆院議員の質問に、河野太郎外相も「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではない」と答弁したことを紹介。「政府は嫌々ながら今でもそう答えざるをえないんですよ」とのべると、田村さんは「その答弁が残っていることを認めているんですね」と念押してやりとりに。

 「日韓両政府とも『個人の請求権が消滅したわけではない』という点では一致している。だったらこの一致点で話し合って、被害者の尊厳と名誉を回復する措置をとるべきだというのが私たちの考えなんです」と志位氏。国家と国家の請求権の問題と、個人の請求権は別と明快な説明に、「そっか。ぼくは、もう全て解決したのに、なんでこんなことになっているんだろう、いつまでこういう要求が続くんだろうと思ってすごい不審に思っていたところなんです」と田村さん。

 さらに志位氏は、14日の穀田氏の質問では、「個人の慰謝料請求権は、請求権協定の対象に含まれておらず、請求権協定によって消滅したとはいえないことも政府に認めさせた。この点もたいへん大事な点なんです」と強調しました。

 「でもメディアはそのことを一切触れずに報道している」と、安倍政権の言い分そのままに徴用工問題を報じるメディア状況を指摘した田村さん。志位氏は「メディアの報道は問題ですね。ただ韓国をたたけばいいというのは冷静な解決を妨げている」と指摘しました。

日ロ領土問題 「2島」での平和条約に反対

 日ロ領土問題も対談テーマに。安倍首相が「1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速する」と強調していることに志位氏は、「結局、歯舞群島、色丹島の2島の『返還』で平和条約を結んでしまうという危険をとても感じる」と指摘。「歯舞、色丹は北海道の一部ですから『先行返還』はありうることです。ただ、その場合も中間的な友好条約で処理し、平和条約は領土問題が完全に確定してから結ぶべきです。なぜなら、平和条約を結ぶと国境は画定してしまうんです。どんな留保をつけようと国境が画定してしまい、それ以上の領土交渉は永久にできなくなる」と、「2島返還での平和条約」には断固反対する立場を表明しました。田村さんも「国境に線を引いた状態から、さらにそこから交渉をしようと思っても、そこからでは残りの(国後、択捉)2島は返ってこないじゃないか」ときっぱり。

 志位氏は、日ロ領土問題の根本には、「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を踏みにじって、「ヤルタ協定」で「千島の引き渡し」を決め、それに拘束されてサンフランシスコ平和条約で「千島の放棄」を宣言したことがあり、この戦後処理の不公正をただすことこそ必要だと強調。「サンフランシスコ平和条約では沖縄の施政権を放棄したのにその後返ってきた。やる気になればできるんです。ところが、日本政府は全千島の返還を堂々と求める交渉を一度もやっていない」と語りました。

 田村さんは「ソ連が勝手に領土をもっていったことを国際社会に訴えると日本がかじをとった場合、日本が急にこんなことを言い出した、今までの言い分と違うとならないですか」。志位氏は「たしかにそれは大転換になるけど、それをやらなかったら絶対に解決しません。国後、択捉はもとより2島だって返ってくる保証はどこにもありません」と強調。田村さんは「なるほど。言い分だけはしっかり言って、どこで手打ちがあるのか分からないけど、まずしっかり日本として主張すべきことはしなさいよと(いうことですね)」と応じました。


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