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2018年11月17日(土)

検証 三つのタブーと「しんぶん赤旗」

「日米同盟タブー」 沖縄基地問題で解決の展望示す

 「赤旗」の役割がくっきり表れているのが、この間の沖縄・辺野古への米軍新基地建設問題をめぐる「アメリカ(日米同盟)タブー」との関係です。

圧倒する報道量

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(写真)沖縄県知事選でのデニー候補必勝を期した「オール沖縄」大集会(9月22日)の模様と大集会での故・翁長雄志前知事の妻・樹子さんの訴え全文を掲載した翌23日付「赤旗」1面

 耐用年数200年の巨大基地である辺野古新基地をめぐっては、建設反対の圧倒的審判が繰り返し下されてきました。9月に行われた県知事選でも、権力総動員で民意を押しつぶそうとした安倍政権の強権政治をはねかえし、新基地反対を掲げる「オール沖縄」の玉城デニー氏が過去最高得票で大勝。続く豊見城、那覇両市長選でも連続勝利し、沖縄の民意を動かしがたい形で示しました。本土の世論も急速に変化、共同通信の最新の世論調査では、政府の姿勢を「支持しない」が51%で、「支持する」37%を大きく上回る状況になっています。

 「赤旗」は、新基地建設反対と普天間基地の即時撤去を掲げる「オール沖縄」に連帯する唯一の全国紙として、安倍政権の無法とこれにたちむかう沖縄のたたかい、全国の連帯行動を、他のメディアを圧倒する報道量で詳しく報じてきました。

 県知事選では、地元紙に先駆けて玉城デニー氏のインタビューを掲載し、その生い立ちや人柄、新基地阻止の決意を紹介。8000人が結集した9月22日の「オール沖縄」の大集会も大きく報道し、翁長雄志前知事の妻・樹子さんの訴えを唯一全文紹介し、「県民を愚弄(ぐろう)する日本政府に負ける訳にいかない」とたたかいを鼓舞。デニー知事誕生に貢献しました。

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(写真)「シリーズ検証・日米地位協定」の第1回を掲載した10月28日付「赤旗」1面

 その後も、国が法をねじまげて沖縄県の埋め立て承認撤回を執行停止にしたことを徹底批判。「シリーズ検証・日米地位協定」(10月28日付から)で米軍の無法を可能にしている地位協定の問題点を徹底解明しています。

 「赤旗」にこういう報道ができるのも、「アメリカタブー」がない、つまり日米同盟に縛られず、真実を伝える新聞だからです。だからこそ、沖縄米軍基地問題でも普天間基地の危険性除去ができないのは「移設条件付き」だからだとズバリ指摘し、無条件即時撤去こそ唯一の解決策であるという展望を示すことができるのです。

 その値打ちは、「アメリカタブー」に支配された大手メディアの実態と対比するといっそう鮮明になります。沖縄県民の生命・安全よりも日米同盟を最優先する大手メディアの本質と限界をくっきり示したのが、民主党政権時代の沖縄報道でした。

 2009年9月、民主党の鳩山由紀夫代表が「対等な日米関係」を掲げ、普天間基地の「国外、最低でも県外移設」を公約し、政権につきました。すると、「日経」は「鳩山政権は対米政策で『君子豹変(ひょうへん)』せよ」(同年9月2日付)と迫り、「読売」も「(普天間)移設見直しは、日米合意を破棄するに等しく、同盟関係を損なうのは必至だ」(同1日付)と主張しました。

強権通用しない

 当時の米国防長官が10月に来日し、“辺野古移設がなければ普天間に居座る”とどう喝するなか、全国紙はいっそう強く「辺野古移設」を主張しました。政権交代を後押ししてきた「朝日」も「普天間問題 日米関係の危機にするな」(同年12月10日付)、「普天間先送り 鳩山外交に募る不安」(同16日付)と“日米同盟危機”をあおる社説を連打。ついに民主党政権は公約を投げ捨てることになりました。

 しかし、沖縄のたたかいはやむことなく、「オール沖縄」のたたかいに発展し、安倍政権の民意を踏みつけにした強権がもはや通用しないところまで追い詰めてきています。

 そのなかで、「辺野古一色」だった大手メディアにも分岐が生まれ、「辺野古ノーの民意聞け」「民意顧みぬ国の傲慢(ごうまん)」(「朝日」)、「『辺野古ノー』の重さ」「もう押しつけは通じない」(「毎日」)という政権批判の論調も生まれています。しかし、「沖縄と真摯(しんし)な対話を」「民意と向き合うことが必要だ」とはいうものの、「新基地建設をやめよ」という主張は見当たりません。「読売」「産経」にいたっては、政権べったりで工事強行を支持する状況です。

 「アメリカタブー」のない「赤旗」の役割はいよいよ重要になっています。(つづく)


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