しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年11月5日(月)

きょうの潮流

 英BBCが先ごろ、「史上最高の外国語映画ベスト100」を発表しました。世界各国の映画評論家が投票したもので、1位に選ばれたのは黒沢明監督の「七人の侍」でした▼羅生門、隠し砦(とりで)の三悪人、用心棒、椿(つばき)三十郎、天国と地獄、赤ひげ―。今年で没後20年がたつ今もなお数々の作品はくり返し見られ、新たなファンを国内外でひろげています。その多くが俳優・三船敏郎とつくりあげたものでした▼敗戦後、復員して食べるのにも困っていた三船は職を探して東宝へ。ふたりはそこで運命的に出会います。野性味あふれたスピーディーな演技にほれ込んだ黒沢は、その卓越した個性と格闘することで創造と意欲をかきたてていきました▼映画史にさん然と輝く傑作を生み出した黄金コンビ。互いに欠かせない存在として認め合い、心の内に敬意をもちながら映画づくりにまい進した監督と俳優。両者の関係はどこか山田洋次監督と渥美清さんのそれにも通じます▼「男はつらいよ」は渥美さんの存在なくしてできなかったという山田監督。亡くなった渥美さんもまた、自分の才能をいかんなく引き出してくれた監督を尊敬していました。いまシリーズ50周年を迎える来年末の公開にむけ、50作目となる新作の撮影がすすんでいます▼時代背景や色合いにちがいはあれど、両方の作品に共通するのは、おもしろさとともに人間への深い愛です。演じ手とつくり手の情熱に共感し、支持する大勢の人びと。それが世に映画を残していくのでしょう。


pageup