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2018年11月1日(木)

破たんの安倍政治 転換は急務

参院本会議 山下副委員長の代表質問

 日本共産党の山下芳生副委員長は31日、参院本会議の代表質問で、安倍政治の破たんを厳しく突き、新しい政治をつくるための抜本的な転換を示しました。


電力供給

原発やめて分散型へ

 山下氏は、北海道胆振東部地震での大停電は、電力需要量の半分を一手に担っていた苫東厚真石炭火力発電所の3基の停止が決定的な要因だったことを指摘。「電力の安定供給のためには、大規模集中発電から分散型への転換が必要だ。これが北海道大停電が示した重大な教訓だ」とただしました。

 安倍首相は「北海道胆振東部地震のブラックアウトと同様な事象を繰り返さないため、電力インフラの総点検を実施している」というだけ。山下氏が分散型の電力供給の対極にあるのが原発だとして、「原発に固執することが、分散型への転換を阻む最大の障害になっているとの認識はあるのか」とただすと、安倍首相は「原発ゼロは、責任あるエネルギー政策とは言えない」などと開き直りました。

 山下氏は、九州電力が電力の需給バランスが崩れるとして、原発4基を動かしながら、太陽光発電を抑えるやり方をとったことについて、「再生可能エネルギー普及のブレーキになる」との懸念と批判が広がっていることを指摘。「東京電力福島第1原発事故の教訓に加え、原発が電力の安定供給のリスクとなり、再生可能エネルギー普及のブレーキとなっている点からも、原発頼みのエネルギー政策を根本から転換すべきだ」と主張し、野党提出の「原発ゼロ基本法案」の真剣な検討を求めました。

消費税増税

景気悪化 弱者いじめ

 「こんな時に増税を強行すれば、消費がいっそう冷え込み、景気がますます悪くなることは火を見るより明らかだ」

 安倍政権が予定する来年10月からの消費税10%への増税。山下氏は、前回の消費税増税(2014年4月)後から2人以上世帯で実質消費支出が年25万円減っていることをあげて批判しました。

 政府は消費税増税について「社会保障のため」と説明します。ただ消費税は、低所得者ほど負担が重くのしかかる“弱い者いじめ”の税金で、この消費税を立場の弱い人々を支えるための社会保障の財源にしようというのは本末転倒です。

 しかも、消費税は導入後に国民から累計372兆円を集めた一方で法人税は累計291兆円も減っており、ほとんどが社会保障のためではなく大企業を中心とした法人税減収の穴埋めにまわされているのが実際です。(グラフ)

 山下氏は、消費税導入後に社会保障は年金削減や医療費窓口負担増など改悪の一途をたどり、最近も財務省は財政制度等審議会で全世代にわたる削減メニュー(表)を示していることを紹介。「『社会保障のため』の増税と言いながら、社会保障に削減の大ナタをふるう。国民をだまし討ちにするようなやり方はもうやめるべきだ」と批判し、社会保障の財源は、大企業や富裕層に応分の負担を求めるべきだと主張しました。

 安倍首相は前回の消費税増税について「景気の回復力が弱まることになった」と経済への悪影響を認めつつも、今回は増税対策で「あらゆる施策を総動員する」と述べ、あくまで強行する姿勢を見せました。

 消費税の複数税率化にあわせて導入されるインボイス(適格請求書)制度について山下氏は、年間売り上げが1000万円以下の免税業者はインボイスを発行できず取引から排除されることになると指摘し、「消費者だけでなく、中小零細事業者にも致命的な打撃を与える消費税10%への増税は中止すべきだ」と主張しました。

 安倍首相は、インボイスについて「免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があるのも事実」として、導入までに4年の準備期間を設け、その後、6年の特別措置を行うと述べるなど、事実上インボイス導入が大きな影響を与えることを認めました。

大軍拡

世界の外交努力に逆行

 安倍政権が、沖縄県の辺野古新基地建設や陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入を推し進めてきた口実は、北朝鮮の「脅威」です。山下氏は「国際社会が、北朝鮮の核・ミサイル問題の対話による平和的解決の流れを促進するさまざまな外交努力をする中、逆行しているのが日本だ」と安倍政権の大軍拡を批判しました。

 今年8月に防衛省が公表した『防衛白書』では、北朝鮮の評価は「これまでにない重大かつ差し迫った脅威だ」と変わらず、自衛隊と米軍の一体化と軍拡に固執しています。

 山下氏は南北、米朝首脳会談の開催で朝鮮半島の非核化と平和に向けた合意が交わされたとして、「『防衛白書』の認識は、対決から対話への歴史的転換をまったく無視している」と指摘しました。安倍首相は「総合的に分析・評価した上で極力客観的な記述に努めた」と正当化しました。

 山下氏は、トランプ米大統領が日米首脳会談後に「私が『日本はわれわれの思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字はいやだ』というと日本はすごい量の防衛装備品を買うようになった」と発言したことの詳細を追及しました。安倍首相は「差し控えたい」とし「主体的な判断のもと防衛力の強化を行う」と強弁しました。

 山下氏は、防衛省が来年度概算要求で2352億円もの関連経費を計上した「イージス・アショア」の導入中止を要求。「電磁波の影響やテロ攻撃の標的になることへの不安、『北朝鮮情勢が変わっているのになぜ必要か』と批判が噴出している」と追及しました。

 安倍首相は、導入中止は考えていないとして、地元に対しては「丁寧に対応する」とごまかしました。

外国人労働者

人権保障する制度必要

 政府が2日にも提出しようとしている外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法の改定案について、山下氏は「現状の外国人労働者の人権侵害をそのままに、『どの分野に、どれだけ受け入れるか』など重要な問題を法制定後、政府に全て委ねてしまう『白紙委任』立法だ。このまま閣議決定するなど断じて許されない」と指摘しました。

 現在の外国人技能実習生制度は、職業選択の自由など基本的人権を制度として奪い、労働基準法や最低賃金法すら守られていないなど重大な問題を抱えています。

 山下氏は「まずやるべきは、現にある人権侵害をなくすことだ」と強調しました。

 安倍首相は、政府基本方針に重要問題を「白紙委任」することについては何ら答えず、人権侵害への対応は従来の施策などを述べるにとどまりました。

 山下氏は「外国人労働者の基本的人権が保障される受け入れ制度を整えて、秩序ある受け入れを進めていくべきであり、そうしてこそ日本人の労働者の権利と労働条件を守ることにもつながっていく」と指摘しました。

災害対策

支援対象拡大し命守れ

 「災害から国民の命と財産を守ることは政治の要だ」―。山下氏はこう述べ、被災者の住宅と生業(なりわい)の再建のために被災者生活再建支援法の支援金の引き上げ、支援対象の拡大などを提案。さらに、大阪で9歳の児童らが犠牲となったブロック塀倒壊、倉敷市真備町で高齢者の多くが自宅1階で溺死した堤防決壊の例をあげ「危険が早くから予測されていたにもかかわらず、危険を最小化する対策がとられてこなかった」として、底をついた検証と防災対策のありかたの転換を求めました。

 安倍首相は「被災者の命を守り、安心を確保できるよう引き続き検証を行い、防災対策をしっかり進める」と答えました。

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