しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2018年10月19日(金)

トンネル点検手抜き

笹子事故 反省どこへ

高速3社 新ルール守らず

会計検査院指摘

 9人が死亡した中央自動車道・笹子トンネル事故(2012年)後に新たな点検ルールをつくったのに、事故の責任を問われたネクスコ中日本など高速道路会社3社がルール通りの点検をしていないことが18日までに、会計検査院の調査でわかりました。

 (矢野昌弘)


 調査では、早急な対策が必要と判断されたトンネルと橋の1474カ所が2年以上未補修になっていることも判明。会計検査院は、適切に対応するよう、3社に改善を求めています。

 中日本など高速道路3社は14年と15年に、点検のやり方など定めた「保全点検要領」などを改定しました。その中で、トンネルの内装パネルの裏側など、目視や打音点検ができない場所については、ファイバースコープを差し込むことなどにしていました。

 しかし、検査院が16、17年度に点検が行われた3社のトンネル計110カ所を調べたところ、全てでファイバースコープを使った点検をしていませんでした。このうち44カ所で漏水が確認され、取り付け金具に悪影響を与えている可能性があるといいます。

 検査院は3社が管理するトンネルと橋のうち「速やかな対策が必要」と判定された6669カ所(3月末時点)も調査しました。

 その結果、4579カ所で補修のための工事契約が未締結で、このうち判定から2年以上が1474カ所、4年以上が88カ所ありました。

 また、4579カ所のうち268カ所は補修計画に反映されていませんでした。反映されても補修の予定が20年度以降になるのが1850カ所にのぼり、このうち467カ所で漏水やさびがありました。

 自ら定めた点検ルールを守っていない高速道路会社。中でも、笹子トンネルを管理する中日本には重い責任があります。

 同社は16、17年度に点検した内装板が設置されている31トンネル全てでファイバースコープでの点検をしていませんでした。このうち、漏水などがみつかったトンネルが21本ありました。

 同社の宮地克人社長は、昨年12月の会見で「安全性の向上という命題を着実に進めて、今日に至った。事故の教訓を決して風化させることなく、安全性向上に貢献していきたい」と豪語していました。同社の姿勢が改めて問われます。


pageup