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2018年10月15日(月)

主張

裁量労働制の拡大

長時間労働まん延は許されぬ

 三菱電機で、裁量労働制を適用された3人の労働者が精神疾患や脳疾患を発症し2014~17年に労災認定されたことが明らかになり、この制度の危険性を改めて浮き彫りにしています。1人は過労自殺していました。裁量労働制が歯止めのない長時間労働をまん延させ、働く者の健康をむしばむことは明白です。安倍晋三政権は、裁量労働制の対象拡大を狙っていますが、とんでもありません。そんな企ては断念すべきです。

三菱電機で労災が続発

 三菱電機の問題は先月末に判明したものです。同じ時期、裁量労働制が適用されていなかった労働者2人も労災認定され、このうち1人も過労自殺していました。数年の間に5人の労働者が労災認定され、2人が自殺していたことは極めて深刻です。同社は、長時間労働による精神疾患の労災が明らかになった際、「二度と起こさない」と表明していましたが、責任は重大です。

 深刻なのは一連の事態が裁量労働制の広がりの中で起きたことです。同制度は、実際に働いた時間と関係なく、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなす「みなし労働時間制」を採用しています。そのため実際の労働時間を把握することは事実上不可能で、長時間労働やサービス残業の温床になっていると批判を浴びています。

 三菱電機は04年に裁量労働制を導入し、社員約3万人のうち専門・企画業務など約1万人に適用しましたが、労災認定が相次ぐ中で今年3月、同制度を廃止しました。同社は、「長時間労働の抑制・健康確保等の観点から労働時間をより厳正に管理する」ということを廃止理由に挙げました。裁量労働制が、長時間労働に拍車をかけ、労働者の健康を壊す仕組みであることを認めたに等しいものです。安倍政権などが盛んに宣伝する「柔軟な働き方ができる」などの言い分は成り立ちません。

 安倍政権は先の通常国会で成立を強行した「働き方改革」一括法の柱に裁量労働制の拡大を盛り込む方針でした。しかし、労働時間を短く見せるために調査データをねつ造していたことなどが発覚し、国会で野党から厳しく追及され、国民の世論と運動が広がる中、断念に追い込まれました。

 それでも安倍政権は裁量制の拡大をあきらめていません。先月末、対象拡大に向けて労働時間調査のやり直しのための有識者会議を厚生労働省内に設けました。内閣改造後、根本匠厚労相は「必要な制度設計は行う」と述べ対象拡大を進める構えです。世論に逆らう姿勢は許されません。

抜本的な見直しこそ必要

 裁量労働制は専門業務型と企画業務型に限定されていますが、企画業務型については適用してはならない営業職や一般職に広げる違法なやり方が横行し、大問題になっています。際限のない長時間労働を招く企画業務型は廃止することが必要です。専門業務型については、真に専門的な業務に限り、要件と運用を厳格化すべきです。

 「働き方改革」一括法に盛り込まれた残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)は、労働時間規制そのものをなくす、裁量労働制以上に危険な仕組みです。残業代ゼロ制度を職場に導入させることを許さず、廃止に追い込むたたかいは、いよいよ急務です。


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