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2018年10月14日(日)

財務省が恣意的引用

日医批判「予防医療活動に水」

 財務省が「予防医療」の医療費抑制効果を否定するために新聞記事を恣意(しい)的に引用していたことが明らかとなり、医療関係者から批判を浴びています。

 財務省は9日の財政制度等審議会の分科会に出した、社会保障費のいっそうの抑制・削減を求める提言のなかで、康永秀生東京大学教授の昨年1月の「日経」の連載記事を引用しました。

 そのさい、8回連載の初回と最終回をまるで1本の記事のように加工したうえで「大半の予防医療は、長期的にむしろ医療費や介護費を増大させる可能性があります」などの主張を紹介。医療・介護費の抑制には、予防医療の推進ではなく医療・介護の給付抑制と負担増が必要だという財務省の主張の根拠づけに利用しました。

 しかし、康永氏は引用された連載の同じ回で「予防医療によって病気の発生や進行を抑え、健康を維持・増進することは、国家レベルでも個人レベルでも優先度が高い」(初回)、「国・地方自治体や医療従事者は今後も引き続き、予防医療を積極的に推進すべきだ」(最終回)などと予防医療推進の重要性を繰り返し指摘していましたが、財務省の提言はその部分を引用しませんでした。

 これに対し、日本医師会の横倉義武会長は10日の記者会見で「今回の財政審の主張は現在進められている地域での健康づくりの活動に水を差すものであり、強い怒りを感じる」と批判。記事の引用の仕方について「大変恣意的」だと断じました。


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