2018年10月13日(土)
「寄り添う」なら辺野古脱却を
沖縄知事への首相回答
「戦後70年がたった今なお、米軍基地の多くが沖縄に集中しているという大きな負担を担っている。この現状は到底、是認できるものではない。今後とも、県民の皆さまの気持ちに寄り添いながら、基地負担の軽減に向けて一つひとつ着実に結果を出していきたい」
沖縄県知事選で示された「辺野古新基地ノー」の圧倒的な民意を伝えた玉城デニー知事に対する、安倍晋三首相の回答です。
この言葉を聞いて驚きを隠せませんでした。9日に行われた翁長雄志前知事の県民葬で、菅義偉官房長官が代読し、「うそつき」などと激しい罵声を浴びた「追悼の辞」と全く同じ内容だったからです。
安倍政権は4年前の県知事選で、翁長氏の圧勝で示された圧倒的な民意を無視し、踏みにじって名護市辺野古の米軍新基地建設を強行してきました。それにもかかわらず、平然と「県民の気持ちに寄り添う」という安倍官邸に対して、「うそつき」という反応が出るのは当然です。
実際、12日に首相官邸で行われたデニー知事との会談でも、安倍・菅両氏は「普天間の辺野古移設の立場は変わらない」と述べました。この場に県民が同席していれば、さらなる激しい怒りの声が出ていたでしょう。
「県民の気持ち」とは何なのか。4年前の県知事選で示された民意について、菅長官は当時、「さまざまなものがある」として「新基地ノー」の民意を認めようとしませんでした。しかし、2人の知事が新基地反対を掲げて圧勝した事実を無視することは、もはや不可能です。沖縄にこれ以上、新たな基地はいらない―。これが県民の気持ちです。ここに寄り添うのなら、「辺野古が普天間基地問題の唯一の解決策」という思考停止状態から抜け出し、ただちに対米交渉に乗り出す以外に道はありません。
ましてや、今回の会談を、翁長前知事が命をかけて手がけた辺野古埋め立て承認撤回に対する対抗措置をとる前提として、“一応、県知事の話は聞いた”という、単なる「手続き」とみなすことは許されません。
(竹下岳)