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2018年10月8日(月)

主張

体育の日

スポーツをより身近なものに

 8月にインドネシアで開催されたアジア大会をはじめとする国際大会での日本選手の健闘、全米テニスで優勝した大坂なおみ選手の活躍などに日本中が注目し、スポーツの素晴らしさを伝えました。

 きょうは「体育の日」です。1964年の東京オリンピック開会日(10月10日)を記念した祝日で、「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」ことを趣旨にしています。

気軽にできない現状

 「体育の日」を機に、スポーツをやろうと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、せっかく意欲をもっても、気軽にできない現実もあります。長引く不況、貧困と格差の広がりのもとで、多くの人がスポーツどころでない状況に置かれています。

 スポーツ庁の「スポーツ実施状況に関する世論調査」(2017年度)を見ると、「運動不足を感じる」と答えた人が79・5%、「この1年間に運動・スポーツをしなかった」人は25・9%もいます。

 なかなかできない理由に「仕事や家事が忙しいから」が39・9%で最も高くなっています。運動不足を解消するには、労働条件を改善し、休暇や自由時間の保障がともなわなければなりません。

 身近な生活の場にスポーツ施設が不足していることも、スポーツを遠ざけています。文部科学省の「体育・スポーツ施設現況調査」をみると、1996年に6万5千カ所あった公共スポーツ施設は、2015年には5万2千カ所と1万3千カ所も減っています。

 こうした後退の背景には、「スポーツは民間で」と押しつけ、公共施設の整備を放棄してきた、この間の自民党を中心とする歴代政権の悪政があります。スポーツ庁の予算を見ても、国民スポーツ関連の予算は極めて低水準であり、社会体育施設整備の助成金は大幅に縮減されています。

 このことは、地方自治体の財政にも影響しています。自治体のスポーツ関係経費は1995年の1008億円をピークに、2014年には582億円へと、426億円も減少(総務省調べ)したことに端的に表れています。

 このような政府の姿勢は、スポーツ基本法が明記した「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことが人々の権利である」との規定をないがしろにしたもので、転換が求められています。スポーツ分野で真っ先に取り組むべき施策は、国民がスポーツに親しめる条件整備に力を注ぐことです。一方、20年の東京五輪の費用が膨張する恐れが会計検査院の指摘で明らかになっており、国民に負担増を強いないよう見直しが必要です。

世界共通の文化として

 スポーツで憂慮しなければならない問題は、最近スポーツ界で頻発している暴力、ハラスメント、差別、不正行為などの不祥事です。その非民主的な体質に国民から疑問が投げかけられています。

 スポーツが心身の健全な発達を促すとともに、人権を尊重し、互いをリスペクト(尊敬)しあい、フェアプレーに徹する文化でなければ競技者の意欲はかきたてられません。「体育の日」にあらためて「スポーツは、世界共通の人類の文化である」(スポーツ基本法)ことを確認し、スポーツとその世界のあるべき姿を考える機会にしていきましょう。


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