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2018年10月7日(日)

きょうの潮流

 この週末も台風25号の接近が列島を脅かしています。天災は“忘れたころ”でなく毎月のようにやってくる時代。異常気象が続く今、これまでの治山治水行政でいいのか、真剣に問われるべき時です▼7月の西日本豪雨被害。全域が水没・冠水し、50人以上犠牲になった岡山県倉敷市真備町水害は、国が河川や堤防の整備を怠り、堤防が決壊したのが原因でした▼「国土強靱(きょうじん)化の名によるダム偏重の河川行政による人災です」。こう指摘するのは建設省(現・国土交通省)元土木研究所次長の石崎勝義さん。「堤防の決壊を防ぐ技術を30年前にすでに開発しました」と本紙1日付で。その技術は、堤防の人家側斜面も遮水シートなどで保護するもの▼この工法は安価で、地元業者でもできる仕事です。ところが、大手ゼネコンによるダム建設の妨げになるとして、国交省が今も封印しています。「ダムによる治水対策は、急流が多い日本ではもともと効果が限定的。ダムを中止し、その費用で堤防を強化すれば、水害も甚大なものにならずにすみます」と石崎さん▼水害被災地を回ると、「地震による家屋損傷と性格が違う」との声を聞きます。「外観はよくても床下でも床上でも水につかるとダメになる。水が断熱材から上がり壁がベコベコになったりして『全壊』と同じ」との訴えです▼被災者生活再建支援金を500万円への増額や半壊・一部損壊への拡大は急務です。住まいと生業(なりわい)の再建が復旧・復興の中心にすわる政治への転換をいまこそ。


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