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2018年9月27日(木)

疑惑隠し解散から1年

安倍首相の居座りこそ“国難”

 昨年の国会で大問題となり、今なお深まりをみせる「森友・加計学園疑惑」。国民世論と野党の国会論戦に追い詰められた安倍晋三首相が「疑惑隠し」のために強行した衆院解散から28日で丸1年になります。安倍首相は「北朝鮮の脅威」などをあげ「国難突破解散」と取ってつけたように繰り返しましたが、1年を経て安倍首相が首相の座に居座り続けることこそ“国難”であることがますますはっきりしています。


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米朝関係劇的変化 改憲の口実崩れる

 「選挙を行うことによって北朝鮮問題への対応について国民に問いたい」。安倍首相は昨年9月25日の解散表明の会見で「北朝鮮の脅威」を何度も口にしました。

 トランプ米大統領が「北を完全に破壊する」と危険な恫喝(どうかつ)を仕掛けるなど軍事衝突の危機を深める米朝関係のもと、安倍首相は「必要なのは対話ではない。圧力だ」「『全ての選択肢はテーブルの上にある』という米国の立場を支持する」と発言し、米国の軍事力行使の方針を容認していました。

 ところがこの1年で事態は大きく転換しました。

 4月の南北首脳会談で朝鮮半島の「完全な非核化」と朝鮮戦争の「終戦宣言」を年内に出して朝鮮戦争の停戦協定を平和協定に転換することなどを合意。6月の米朝首脳会談では新しい米朝関係の確立と朝鮮半島の永続的な平和と朝鮮半島の完全な非核化を合意したのです。

 トランプ米大統領は交渉継続中の米韓合同軍事演習の中止を宣言。7月には非核化へ向けた米朝実務者協議が開始されました。

 非核化プロセスをめぐり米朝間の意見の対立から膠着(こうちゃく)状態もありましたが、今月18、19日には今年3回目の南北首脳会談が開かれ、南北間の不可侵合意や北朝鮮のミサイル実験場の廃棄や重要な核施設について米国が「相応措置」を示した場合の「永久廃棄」などが確認されました。

 米国はこれを歓迎し、米朝関係の「変革」を目指して交渉再開を準備するとし、2度目の米朝首脳会談への動きも出ています。

 こうした中で、安倍首相は何の役割も果たせず「圧力一辺倒」の破たんが明確に。「北朝鮮脅威」という9条改憲の最大の口実も崩れています。

 安倍首相は25日の国連総会での一般討論演説で、北朝鮮について「歴史的好機をつかめるか否かの岐路にある」とする一方、「圧力」という言葉は使いませんでした。

選挙後に次々発覚 「森友・加計」新事実 

 「昨年の総選挙で国民の審判を仰いだ」―。安倍首相は20日投開票された総裁選の中でも、「森友・加計疑惑」について木で鼻をくくったような居直りを続けています。しかし、昨年の解散・総選挙でみそぎは済むどころか、疑惑はますます深まり続けています。

 そもそも昨年の解散・総選挙は、野党が憲法規定にもとづいて求めた臨時国会の召集を3カ月もたなざらしにして、開いたと思ったら質疑もせずに冒頭で解散するというまさに“森友・加計隠し”でした。安倍首相は解散表明の会見でも「なぜ冒頭解散か」については、まったく説明できず、総選挙中の討論の中でも、安倍首相は「私は十分説明をしてきている」と疑惑の核心部分には一切触れようとしませんでした。

 そのうえ、解散・総選挙後の通常国会では、森友・加計疑惑をめぐる新事実が次々と発覚。安倍首相の妻の昭恵氏の関与を具体的に示す決裁文書の改ざんや、安倍首相と加計孝太郎・学園理事長の面会などが記述された愛媛県文書が明らかになったのです。総選挙は国民を欺いたまま行われたもので正統性が問われています。これでどうして、国民の審判を仰いだなどといえるのでしょうか。

 こうした安倍首相の国会軽視、不誠実な答弁姿勢が、国民の深刻な政治不信を生んでいます。共同通信の直近の世論調査(20、21両日実施)では、森友・加計疑惑についての安倍首相の説明に「納得していない」が76・8%と圧倒的多数。しかも、安倍内閣を「支持しない」と答えた人の51・0%が「首相が信頼できない」ことを理由に挙げる深刻な状況です。

 口先だけでその場を乗り切ろうとする安倍首相の政治手法はもはや通用しません。今後、さらなる国民の批判にさらされることは必至です。

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(写真)「原発ゼロ基本法案」を阿部優子衆院委員部長(中央)に提出する野党各党。左から3人目は笠井政策委員長、右は高橋千鶴子衆院議員=3月9日、国会内

分断のりこえ 野党共闘画期的発展

 衆院解散直前に、希望の党の結党によって野党共闘に重大な分断が持ち込まれました。日本共産党は市民と連携して共闘再構築に取り組み、総選挙では、共闘勢力一本化のため全国67の小選挙区で候補者を降ろし、共闘勢力全体で議席を大きく増やしました。「共産党の大英断」などの声が上がりました。

 2018年の通常国会では反安倍を求心力として、国会共闘が画期的な発展を遂げました。

 100回を超える「野党合同ヒアリング」などによって、裁量労働制のデータねつ造が明らかになり、裁量労働制は「働き方改革」法案から削除。森友・加計問題で、公文書の改ざん、隠ぺい、虚偽答弁を認めさせました。さらに、野党は2018年予算の組み替え動議や全原発の速やかな停止・廃炉を掲げた原発ゼロ基本法案など20本の法案を共同提出しました。

 3000万人署名の進展などとあいまって国会での野党共闘は、自民党改憲案の通常国会への提出を阻止しました。

 日本共産党は参院選での、「本気の共闘」実現をめざし、新たな野党結集をよびかけています。


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