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2018年9月24日(月)

日本教科書の道徳教科書

採択は3地区のみ

市民が運動 “ゆがんだ内容だ”

「教科書ネット21」調査

 子どもの心を脅かす「日本教科書」(東京都)の公立中学校向け道徳教科書を採択したのは17日現在で、全国で栃木県大田原市、石川県小松市、加賀市の3採択地区のみであることが分かりました。「子どもと教科書全国ネット21」の調査で判明したもの。


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(写真)日本教科書がつくった中学生用の道徳教科書

 同会の調査によると、来年度から中学校で使われる道徳教科書検定で合格した全8社中、最も採択率が高かったのは東京書籍の教科書で35・1%です。全584の採択地区中、採択結果が分かった479地区のうち、168地区で採用されています。日本教科書を採択したのは3地区のみ。採択率は全体の0・6%で、最下位でした。

 日本教科書は、2016年4月に設立。当初の代表取締役は、安倍晋三首相の政策ブレーンの八木秀次・麗沢大学教授でした。八木氏は、13年に道徳を正式教科に格上げするよう安倍首相に提言した政府の教育再生実行会議の構成員。登記簿上で代表取締役となっている武田義輝氏は、侵略戦争を正当化し、韓国を誹謗(ひぼう)中傷した『マンガ嫌韓流』を出版した「晋遊舎」の会長と同一人物です。

 子どもと教科書全国ネット21の鈴木敏夫事務局長は、「日本教科書の採択率は、これ以上増えないと思います。ゆがんだ内容の教科書を子どもたちに渡さないために、多くの人々が全国各地で続けてきた活動の成果です」と話します。同教科書が、愛国心などの「徳目」の理解の自己評価を求めていることについて鈴木氏は、学習指導要領の範囲を超えているとして、文部科学省の検定の在り方も批判しています。「自己評価は誘導そのもので、内心の自由を侵害しています」と批判しました。

自由法曹団が採択に抗議

 自由法曹団(船尾徹団長)は19日までに、栃木県大田原市と石川県小松市と加賀市の教育委員会が、日本教科書の作成した道徳教科書を採択したことに抗議し、それぞれに採択のやり直しを求める声明を発表しました。

 声明は、日本教科書の道徳教科書が日本が戦時中に台湾で行った植民地支配の実情を無視して日本が良いことをしたかのように述べていることや、本文の記載と全く無関係な安倍晋三首相の演説を掲載していることを、誤った歴史認識を与え、現政権肯定を誘導することになると指摘しています。

 同教科書が愛国心を含む22の価値観について生徒自身が4段階で自己評価するように求めていることは、良い成績を取るために教科書に記載されている価値観を身に付けることを強いられていると強く批判しています。


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