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2018年9月15日(土)

主張

「森友・加計」問題

総裁選でこそ、国民に説明を

 自民党総裁選で、安倍晋三首相(現総裁)がロシアから帰国し、石破茂元幹事長との間で論戦が再開しています。日本記者クラブ主催の公開討論会や各地での演説会などが開かれ、経済・外交政策や改憲問題が議論されますが、国民として見過ごせないのは通常国会でも国政の焦点となってきた「森友」や「加計」の問題に安倍氏が十分答えていないことです。日本記者クラブの討論会で質問されても「国民の不信を招いたことはおわびする」というだけで疑惑は説明しません。石破氏は当初掲げた「公正・正直」という主張さえ後景に追いやる、消極ぶりです。

国民の疑念は深いまま

 国民の間では「森友・加計」問題への疑問が解消したわけでも、関心が低くなったわけでもありません。最近行われたどの世論調査でも、国民の7割、8割が疑念を抱き続け、文字通り丁寧な説明を求めています。

 「森友」や「加計」でのこれまでの説明に「納得していない」

 ―「朝日」76%、「毎日」72%

 安倍首相に責任が「ある」

 ―「毎日」63%

 国民の多くが、政治がゆがめられた「森友」や「加計」の問題に、疑問と怒りを持ち続けているのは明らかです。

 首相の妻の昭恵氏が名誉校長を務めていた森友学園へ国有地が格安で払い下げられ、「私や妻が関与していれば首相も国会議員もやめる」という首相のウソに合わせるために、国会での虚偽答弁や公文書の隠ぺい、改ざんが繰り返された「森友」問題は、国有地をめぐる問題にとどまらず、民主主義の根幹に関わる大問題です。「加計」問題は、首相の長年の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部開設のため、首相周辺が関与して行政をゆがめたとされる重大疑惑です。首相が加計孝太郎理事長と直接面談し、「いいね」と発言したと記録した愛媛県作成の文書をいくら頭ごなしで否定しても国民の不信は払しょくされません。安倍氏や昭恵氏、加計氏らに詳しい説明を求め、全容を解明することは、通常国会が終わってもあいまいにできません。

 ところが自民党総裁選で3選を目指し、首相を続けようという安倍氏は、口先では「反省」してみせても、疑惑の中身には一切触れません。日本記者クラブの討論会でも「公表された財務省の文書でも私の指示や妻の関与を示すものはない」と言い切りました。しかし、森友学園の当時の理事長が、建設予定地に案内した昭恵氏から「いい土地ですから前に進めてください」と言われ、その写真を財務省に示したことが計画を促進したといわれるのに、その交渉文書は公開されていません。安倍氏の説明は成り立ちません。

信頼して政治任せられぬ

 対立候補の石破氏も、当初口にしていた「公正・正直」は言葉だけで、首相の疑惑は追及せず、候補者として正式に発表した「所見」にはその言葉さえありません。

 「森友・加計」問題を解明しない自民党に、国民本位の政治を担う資格がないのは明らかです。とりわけ当事者として国民を欺き続けた安倍氏の責任は重大です。

 国民の疑問に答えないまま、総裁選を乗り切ることができても、首相に対する国民の信頼は決して得られません。


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