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2018年9月9日(日)

沖縄新基地 「自治体には限界」と容認

佐喜真氏、知事の資格あるのか

 13日の告示を目前にした沖縄県知事選(30日投票)では、最大争点である辺野古新基地をめぐり、翁長雄志知事の遺志を継いで「新基地を造らせない」と訴える玉城デニー候補と、新基地への是非を隠す一方で「容認」の本性が明るみに出つつある佐喜真淳候補との違いが鮮明になっています。

 (竹下岳)


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(写真)公開討論会で発言する玉城デニー氏(右)と佐喜真淳氏=5日、沖縄県南風原町

 米海兵隊普天間基地を抱える宜野湾市長を務めてきた佐喜真氏は、「普天間飛行場の返還」を掲げつつ、同基地の「辺野古移設」について是非を明らかにしてきませんでした。

 その理由は、「新基地ノー」の圧倒的な民意の審判をかわし、「辺野古」を争点化させないためです。今回の知事選でも是非を語らず、候補者同士の公開討論会も避け、辺野古新基地推進の安倍自公政権の組織力で逃げ切ろうという戦略でした。

態度あいまい

 しかし、県が8月31日に辺野古埋め立て承認を撤回し、国も法的措置を取ると表明した以上、新知事は承認撤回の方針への対応が問われることになります。ところが、佐喜真氏は立候補表明後、あいまいな態度に終始。同氏に対して「無責任だ」「逃げるな」との批判が相次ぎました。

 馬脚を現したのが、5日に行われたJC(日本青年会議所)主催の公開討論会です。玉城氏が、昨年2月の衆院予算委員会地方公聴会で佐喜真氏が「辺野古が唯一の解決策」という日米両政府の方針を「否定できない」と述べ、事実上容認していたこと(別項)を指摘。同氏はこの発言を撤回せず、「安全保障や基地は国が決める。我々には限界がある」と弁明したのです。佐喜真氏の立場が、「あらゆる権限を行使して辺野古に基地を造らせない」ことを県政の柱にしてきた翁長県政とは真逆の立場であることがはっきりしました。

 実際には、「限界がある」どころか、県知事には埋め立て承認の取り消しや撤回、設計変更申請や岩礁破砕の許認可など新基地工事をめぐってさまざまな権限があります。安倍政権は「法治国家」を標ぼうしながら、地方自治体の権限を無視して違法工事を強行しているにすぎません。

 佐喜真氏はこうした違法工事を黙認し、地方自治を投げ捨て、安倍政権に白旗をあげようとしています。こうした人物に、地方行政の長としての資格はありません。

逃げ切り狙う

 それでも佐喜真氏は、「辺野古隠し」に終始して自公候補が制した名護市長選(2月)の教訓を踏まえ、自民・公明・維新、そして創価学会の大量動員で先行し、逃げ切ろうとしています。

 しかし、名護市長選のように一切の公開討論会を拒むやり方は通用しなくなり、5日のJCに続き、11日にはメディア主催の公開討論会に応じざるをえなくなりました。

 1998年以降の沖縄県知事選では、すべての主要候補は辺野古新基地の是非を明らかにしてきました。県民の審判から逃げ、権力・金力で押し切るやり方は許されません。

■衆院予算委員会地方公聴会(2017年2月15日)での佐喜真淳・宜野湾市長の答弁

 普天間問題について賛成、反対という言葉がよく出るが、一市長の賛成、反対で普天間飛行場が返還できるのであれば、それにこしたことはない。

 ただ、日米両政府の中で約束事があって、その中で21年が過ぎた。その教訓として言えるのは、やはり代替施設が必要だという結論だ。そこで日米両政府が言っている、普天間飛行場を継続的に使用しない唯一の策としてキャンプ・シュワブ(=辺野古)という話があるので、それは否定はできない。

「女性の質向上」

差別だと批判相次ぐ

■討論会で発言

 5日の公開討論会で、佐喜真氏が「女性の質の向上を目指す」と発言したことも波紋を広げています。

 ツイッターでは「どんだけ上から目線よ」「根底にあるのは、男性より女性は劣っている、っていうなんの根拠もない偏見で、単純に女性差別だと思う」といった批判が相次いでいます。

 一方、玉城氏は「女性が安心して働けるようになる環境を整えることが重要」だと述べています。


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