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2018年9月9日(日)

きょうの潮流

 健常者を障害者と偽り、カウントする。中央省庁による障害者雇用水増し問題は、ウソにまみれたこの国の姿を浮き彫りにしました。働き、社会に必要とされたいと願う障害者の人権を踏みにじる、恥ずべき違法行為です▼しかし、その障害者たちが、国に“必要”とされた時代がありました。戦争末期、戦局が悪化する中、徴兵免除のはずの知的障害者たちが戦場に駆り出されていたのです。ETV特集「隠されたトラウマ~精神障害兵士8000人の記録~」で知りました▼知能年齢が9歳とされた当時21歳の男性は、補充二等兵として中国大陸に送られ、新たな精神障害を発症。上官から犬や猫のような扱いを受けた末に除隊されました。中には知能年齢が4歳5カ月以下の人も。彼らに軍人恩給は支給されませんでした。過酷な戦場でボロボロにされたあげくに放り出されたのです▼切ないのは元精神障害兵士たちの多くが戦後、家族のもとに帰れなかったことです。引き取り手のいない「未復員」。故郷で働くことを希望しながら病院や療養所をついの住み家とするほかありませんでした▼番組は第一次世界大戦中、ヨーロッパで多発した戦争神経症は「皇軍には皆無」と戦争中、存在を隠していたことも伝えます。隠ぺいと偽装は現在に続く、この国の十八番(おはこ)です▼障害者雇用の偽装も根っこにあるのは差別です。「障害者の権利に関する条約」を日本も署名したのではなかったか。人を人として尊ばない社会はやがて滅びる。戦前の教訓です。


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