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2018年9月5日(水)

憲法違反の自覚なし

エスカレートする安倍首相改憲発言

党内から いさめる声なし

写真

(写真)安倍首相の総裁選政策ビラの改憲部分

 安倍晋三首相が7日告示(20日投開票)される自民党総裁選に向け、5年8カ月の自らの悪政に無反省なまま、憲法9条改悪など暴走発言をエスカレートさせています。この首相に、党内からいさめる声も出ない異常な総裁選です。

 自民党は総裁選をめぐり、報道各社に「公平・公正」な報道を求める文書を出し、候補者報道にあれこれ注文をつけています。これ自体、報道介入と批判が起きていますが、安倍政権を持ち上げている「産経」に加え、「日経」まで安倍首相単独の大型インタビューを掲載。そのなかで安倍首相が前のめりに発言しているのが憲法9条改悪です。

 国民多数が改憲を求めていないのに、安倍首相は改憲の発議をしないのは「サボタージュ」(「産経」3日付)、「責任放棄」(「日経」4日付)と攻撃。国務大臣や国会議員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条を踏みにじる発言なのに、その自覚さえありません。

 安倍首相は自民党改憲案を次期国会に提出できるようとりまとめを加速させると表明しています。そればかりか、9月3日の自衛隊高級幹部会同では居並ぶ自衛隊幹部を前に「全ての自衛隊員が、強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」と宣言。憲法9条に自衛隊を明記するという“宿願”達成を、次期3年間のいの一番の仕事と位置づけています。

 政治的中立を大原則とする実力組織の高級幹部への訓示で、最高指揮官の首相が改憲の持論を述べるなど、異常であり、危険極まりありません。

 経済とくらし破壊につながる政策も目白押しです。安倍首相は19年10月の消費税率10%への引き上げを「必ずやり遂げなければならない」(「日経」)と明言。年金制度の改悪や、医療・介護給付のいっそうの抑制につながる「改革」に取り組む考えを語っています。

 自民党総裁選に合わせて安倍晋三首相がメディアなどで語っている次期総裁任期3年間の政治ビジョン。危険なのは憲法改悪にとどまりません。「日経」インタビュー(4日付)では、来年10月の消費税10%増税実施を明言するとともに、雇用と社会保障制度についても改革を進めると表明しています。

消費税

 安倍首相が掲げる「アベノミクス」は、消費税率引き上げのために経済環境を整えることを柱の一つにしています。首相は、安倍政権下で落ち込み続けている家計消費や実質賃金には目を向けず、一部巨大企業が巨額の利益を上げていることを自らの実績と描くことで10%増税を強行しようとしています。

 14年4月の8%増税は国民の家計を直撃し、内需を冷え込ませ、経済に深刻な打撃を与えています。安倍首相は今回、10%に引き上げる際には食料品の税率据え置きや駆け込み需要の反動減対策などを講じるので「衝撃は相当弱まる」と無責任な楽観論を振りまいています。

 8%増税の際も安倍政権は、影響を「一時的」と軽く評価し、1年後に「予想より大きかった」と見直しを迫られました。安倍首相の楽観論はなんのあてにもなりません。

働き方

 安倍首相はまた、今後3年間のはじめの1年間で継続雇用年齢の65歳以上への引き上げなどの「働き方改革の第2弾」を進め、残りの2年間で「社会保障制度全般にわたる改革を進める」といいます。

 安倍首相の「働き方改革の第2弾」は、いまのところ年金の受給開始年齢を引き上げるための継続雇用年齢の引き上げだけです。

 しかし、経団連はじめ財界は、「働き方改革」一括法から削除された裁量労働制の対象を拡大するための法案再提出を求めています。働き方改革第2弾が、継続雇用年齢の引き上げにとどまる保証はありません。

社会保障

 社会保障改革の中身も問題です。安倍首相が検討課題として挙げるのは、医療費削減のための予防医療への転換、年金の受給開始年齢の引き上げ、そして後期高齢者の医療費窓口負担の見直しです。いずれも、国民に重い負担増と給付削減を求めるものばかりです。

 すでに、財務省の財政制度等審議会は5月に発表した「建議」で、後期高齢者の窓口負担や介護保険サービスの利用料負担の引き上げを提起しています。同省は、厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる案も審議会の分科会に示しています。

 安倍政権はこの「建議」も踏まえ、6月に閣議決定した「骨太の方針2018」で19年度以降を「基盤強化期間」と位置づけ、いっそうの社会保障抑制を宣言しています。

安倍首相のこの間の改憲発言

 自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるよう、取りまとめを加速すべきである(8月12日の長州「正論」懇話会の講演で)

 (来年夏の参院選前に改憲の国民投票を実施するよう求めた自民党麻生派の政策提言の申し入れに)基本的な考え方はまったく同じだ(8月27日)

 (改憲を)発議しないというのは、国会議員の怠慢ではないか(8月31日、横浜市内で開かれた自民党の会合で)

 私たち国会議員が発議を怠り、国民に権利を行使させないことは「国民に対する責任放棄だ」とのそしりを免れない(9月3日付「産経」インタビュー)

 長きにわたる諸君の自衛隊員としての歩みを振り返るとき、時には心無い批判にさらされ、悔しい思いをしたこともあったかもしれない。自衛隊の最高指揮官、同じ時代を生きた政治家として忸怩(じくじ)たる思いだ(9月3日の自衛隊高級幹部会同での訓示)


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