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2018年8月6日(月)

きょうの潮流

 作詞家の阿久悠さんは亡くなる前まで夏の高校野球に通い、「甲子園の詩」をつづりました。「無心で白球を追う若者の姿は戦後の象徴だった」と▼銃を手に戦地に赴き、失われていった若い命。夢や希望を奪われた戦争が終わったあと、荒廃のなかで響いたのが球音でした。平和と自由の空気を吸い込みながら各地に根付いていった日本の野球文化。プロ野球とともにそれを発展させたのが高校野球でした▼夏の全国高校野球選手権が100回大会を迎えました。私たちは今、長く、重みのある歴史の上に立っているという選手宣誓は「甲子園は勇気、希望を与え、日本を平和にしてきた証し」だと振り返りました▼開幕試合の始球式に登場した松井秀喜さんは26年前のこの大会で相手から5打席連続で敬遠されました。バットを一度も振ることさえできなかった姿は高校野球やスポーツのあり方が問われる事態となり、甲子園に影を落としました▼体罰やしごき、いじめ。投手の酷使。大きく広がるなかで高校野球はさまざまな問題も引き起こしてきました。メディアの拡販に使われ、勝利至上がはびこり、売名のために有力選手を集める学校も。「教育の一環」からかけ離れた部活動の実態があります▼1世紀にわたる高校野球の光と影。松井さんは「甲子園にあこがれ、それをめざす選手の気持ちは今も変わらないと思う」。地方大会をふくめ、青春をかけ歴史を彩ってきた球児たち。その主人公がグラウンドで輝く野球を今後も期待したい。


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