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2018年7月23日(月)

主張

猛暑と熱中症

命を守るために万全の対策を

 日本列島の広い範囲で猛烈な暑さが続いています。午前中から多くの場所で最高気温35度以上の猛暑日になり、午後には40度を超える地域も出ています。熱中症とみられる症状で救急搬送される人が続出し、高齢者や子どもが亡くなる痛ましい事態も起きています。まさに「命に関わる危険な暑さ」です。気象庁などは、当面続く猛暑に厳重な警戒が必要として、無理な外出は控え、ためらわずに冷房を使用すること、水分や塩分のこまめな補給などを呼びかけています。命を守るため、さまざまな分野で知恵と工夫をこらし、万全の対策を講じることが重要です。

リスク高い豪雨被災地

 西日本を中心にした豪雨の被災地にも猛暑は容赦ありません。多くの人が被災した家屋の片づけや泥出しなどに追われ、体育館などの避難生活も長期化しています。被災後の激変した生活環境の中で、住民は心身ともに疲れ切っており、熱中症になるリスクは非常に高まっています。しかし、困難な状況におかれた被災者個人の力だけではとても対策はとれません。

 避難所での冷房の確保はもちろん、豪雨でエアコンや扇風機などを失い、自宅で暮らす被災者へのきめ細かな配慮と対応など国や自治体が責任を果たすべきです。ボランティアに駆けつけた人の健康を守る取り組みも欠かせません。

 全国で熱中症で搬送される人たちが相次いでいますが、とくに警戒が必要なのが高齢者と子どもです。高齢者は脱水になりやすく、体温調整機能も弱い特徴があり、周囲が注意することが大切です。エアコンを使っているか。体調はいつもと変わりがないか。1人暮らしの高齢者への対応を含め、地域や自治体が気を配り、支えていく努力が求められます。

 校外学習から戻った小学1年生が熱中症の中でも症状の重い熱射病で死亡したことは深刻です。猛暑の中での学校行事のあり方などを点検・見直すことが急務です。

 多くの学校が夏休みに入り、屋外・屋内を問わず、部活動の時間が普段より長くなる時期にあたります。スポーツ大会への参加、応援活動なども増加するシーズンでもあります。「いままでもやったことだから」などと経験にとらわれ、従来型の発想にとどまるのは危険です。試合時間を気温が上がる前の午前中に移したり、応援活動を取りやめたりした大会も出ています。子どもの命と安全を最優先に、行事の延期や中止も含め、柔軟な措置がとれるよう、学校をはじめ関係機関・団体が適切に判断することが必要です。

 学校へのエアコン設置は緊急の課題です。文部科学省の調査(2017年4月)では公立小中学校の教室のエアコン設置率は全国平均で5割未満です。体育館への設置率はわずか1%強です。夏休み明けの猛暑も想定されるもとで、抜本的な対策は待ったなしです。

健康に暮らせるように

 熱中症は、高温などの環境変化だけでなく、体調不良や、長時間の無理な作業などが重なり合って発症します。働き盛りの世代も軽視できません。疲労を蓄積せず、十分な睡眠、バランスのとれた食事が不可欠です。休みも取れない異常な長時間労働の横行する社会は大問題です。人間らしく働ける社会の実現は、健康に暮らせるようにするための大前提です。


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