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2018年7月12日(木)

透析患者の実態 全国調査

患者の5割“家計の柱”

全腎協アンケート

 患者の実態を把握し、医療・福祉のニーズを明らかにしようと全国腎臓病協議会(全腎協)は約5年ごとに「血液透析患者実態調査」を行っています。10回目の調査は日本透析医会と協力し、全腎協の会員ではない患者にも回答を要請しました。2016年10月から半年間で全国の透析患者の2・3%にあたる7191人(男性65%、女性35%)が回答しました。(仁田桃)


生活「苦しい」

 患者本人が家計の中心だという人が48・7%でした。過去1年間の世帯総収入は「300万円以下」が41・6%で、調査を重ねるごとに増加しています。また、対象者の80・2%がなんらかの公的年金を受けていました。

 「仕事をしていない」割合は66・3%でした。「仕事をしたいと思っているが、仕事に就けないでいる」が40・4%にのぼり、60歳未満の年齢では、男性で70%以上、女性は40%以上でした。

 暮らし向きについて、「非常に苦しい」「やや苦しい」と答えた人は合計で約30%でしたが、60歳未満でみると、約40%にのぼりました。

 腎臓は、血液をろ過して余分な水分や老廃物を除去し、尿をつくる働きを持ちますが、それだけではなく、血圧の維持や体液の質と量を保ち、体のバランスを保っています。これらの腎臓機能が低下(慢性腎臓病)してくると、体内の老廃物を除去するために透析が必要になります。

 約32万5000人(15年12月現在)が透析を行っています。透析を週3回行う人は97%でした。

 腎臓病を発見したきっかけとして、「別の病気の治療中」と回答した人は40%で、「自覚症状があり病院で」が27%でした。

 「身の回りの世話を頼める人」「病気など相談に乗ってくれる人」「愚痴を聞いたり、励ましてくれる人」の中で、「同居家族」の占める割合はそれぞれ86・7%、81・5%、79・1%で、身近な家族からの支援が大きいことがわかります。一方、単身世帯は前回調査(11年)から1・6倍増加し、17・2%でした。全腎協は、1人暮らしの透析患者の社会的支援が極めて乏しく支援の拡充が必要だと指摘しています。

終末期も「治療希望」33%

 全腎協の宮永恵美相談室長が注目した項目は「重度の認知症で判断能力を失った場合、透析をどうしてほしいですか」と、終末期医療のあり方を聞いた質問です。

 「透析を続けたい」が33・1%、「中止したい」が27%、「別に希望はもっていない」が33・1%でした。年齢別にすると、70歳以上では「透析を続けたい」と希望する人が優勢で、60歳未満の人では「中止したい」が優勢でした。

 宮永さんは「自分亡きあとのことをタブー視せずに質問しました。判断能力がなくなっても透析を続けたいという患者の声が少なくないことが明らかになりました。こうしたなかで、透析を見送る事態にはなってほしくない。事前指示書の必要性が高いと感じました。調査結果をもとに全腎協として解決に取り組みたい」と話しました。

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