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2018年7月7日(土)

主張

アベノミクス破綻

消費など内需拡大策に転換を

 安倍晋三政権の下での国内需要、とりわけ消費の低迷に歯止めがかかりません。総務省が発表した5月の家計調査報告によると、1世帯(2人以上)当たりの消費支出は、物価変動の影響を差し引いた実質で前年同月比3・9%減と4カ月連続のマイナスとなりました。収入が減少しているうえに可処分所得が伸び悩み、値上げも相次いで切り詰め志向が強まっています。日本銀行が発表した短期経済観測調査(短観)では「大企業・製造業」の業況判断が2四半期連続で悪化しました。輸出頼みの経済政策の行き詰まりは明らかです。

家計の厳しいやりくり

 家計調査で見た消費支出の下落幅は、2016年8月以来1年9カ月ぶりの大きさで、交際費や外食を含む食料への支出が減少しました。衣服や国内旅行も低調で、家計の厳しいやりくりは明らかです。子どもへの仕送りや私立大学授業料は前年を上回りました。

 同じ調査で勤労者世帯の実収入を見ると、実質で0・3%の減少と今年になって5カ月連続の落ち込みです。とりわけ世帯主の定期収入は1・2%減と6カ月連続の減少となっています。低賃金で働く高齢世帯主の収入減などが響いたとみられます。税金などを差し引いた可処分所得も、0・2%増とほとんど横ばいです。

 家計の消費支出は、12年末に安倍首相が政権に復帰し、14年4月にそれまで5%だった消費税の税率を8%に引き上げて以降ほとんどの月で前年同月を下回っています。安倍政権の経済政策アベノミクスの下での消費不況は、深刻で長引いています。首相らはアベノミクスで大企業や大資産家の懐が豊かになれば国民の所得や消費も増えると「トリクルダウン」(滴り落ち)を宣伝してきました。しかし5年以上たっても、国民の暮らしはよくなるどころか、貧困と格差は広がるばかりです。

 内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP、改定値)で見ても、GDPの約6割を占める個人消費は前期(昨年10~12月期)比0・1%減と落ち込んでおり、GDP全体でも前期比0・2%減(年率換算で0・6%減)とマイナス成長が続いています。アベノミクスの破綻は明らかです。

 「経済再生」を看板にする安倍政権は、結局のところ、輸出に頼らざるを得ません。しかし、日銀が今週発表した四半期ごとの短観では、大企業の業況判断さえ、原材料価格の上昇や人手不足、トランプ米政権が発足してからの世界的な貿易摩擦の激化などで、5年半ぶりの2四半期連続の悪化となりました。国内需要、とりわけ消費を立て直さないで、輸出頼みの経済政策がいつまでも続くはずはありません。国民の暮らしにとっても日本経済の再生にとっても、消費を立て直すことがいよいよ急務になっています。

まず消費税の増税中止を

 安倍政権が来年度の予算編成や経済運営の方向性を示した「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)は、アベノミクスを中止するどころか、来年10月からの消費税率10%への引き上げや社会保障の改悪などを持ち出しています。国民の暮らしを悪化させ、内需をいっそう低迷させるものです。

 アベノミクスの中止、とりわけ消費を冷やす消費税増税の中止は喫緊の課題です。


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