しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月28日(木)

主張

加計氏の面談否定

税金かすめ取り認識ない首相

 安倍晋三首相の「腹心の友」、加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園の獣医学部開設のため、首相が関わって行政をゆがめたとされる問題で、加計氏が先週、きっかけとなったとみられる首相との面談を「作り話」だったと発言しました。首相が利用されたのに、首相は抗議一つしません。首相も面談を否定しますが、多くの国民は信じていません。一国の総理の名を使い、特別の優遇を受けるなどというのは国民主権、民主主義の国で絶対に許されることのないものです。首相の態度には国民の税金までかすめ取った深刻な事態への認識がありません。

総理の名前使って促進

 加計氏の否定発言の後、初めて行われた国会の党首討論で、「『作り話』なら学園が総理の名を使って特別の優遇を受けたことになる」とズバリ切り込んだのは、日本共産党の志位和夫委員長です。

 加計氏は19日の記者会見で、2015年2月、首相と同氏が面談し、首相に「新しい獣医大学の考えはいいね」と言われたと学園が愛媛県などに伝えたことを、担当者が「事を前に進めるため」の「作り話」だったと主張しました。事実だとしたら、学園が首相を利用して県などをだまそうとした大問題であり、県や今治市から巨額の補助金を手に入れることになった犯罪行為にもなります。

 実際、志位委員長が追及したように、面談が県や今治市に伝えられた後、柳瀬唯夫首相秘書官(当時)などが関与して、「国家戦略特区」の今治市への学部開設の手続きが進んだだけではありません。15年4月の柳瀬氏との面会は、首相が加計氏と会食した際に、「地元の動きが鈍い」などの話が出たことを伝えられたためだともされています。ここでも首相の名前を利用して県や市に圧力がかけられた形です。県と今治市の学園への補助金は、当初から大幅に膨れ上がり、合計93億円に達しました。

 加計氏は会見で、「3年も前のことなので記憶にも記録にもない」と、2月の面談を否定する明白な根拠を示していません。首相もこれまで面談を否定してきましたが、加計氏の会見に「コメントする立場にない」と、事実上同氏を擁護し、口裏を合わせています。

 一国の首相の発言が繰り返し「ねつ造」され、首相の側近の秘書官まで深く関与して、手続きがゆがめられ、県民・市民の税金がかすめ取られた可能性があるのに、首相が何一つ抗議しないというのは信じられません。「私はあずかり知らない」と開き直ったのは、行政府を代表し、国民の利益を貫くべき首相としての資格と資質に関わります。

国民の7、8割納得せず

 首相が加計氏の面談否定に言及しないのは、首相が、「もし働きかけをしているのであれば、責任を取る」とか、加計学園の計画を昨年1月まで知らなかったなどの答弁の虚偽を国会で追及されるのを恐れているためか。

 どの世論調査を見ても国民の7割、8割は首相や加計氏の面談否定を信じていません。ことは獣医学部の不正な設置や税金の不当な支出とともに、首相の国会答弁にも関わる重大問題です。

 延長された国会で、「森友」とともに「加計」問題も、首相への追及や加計氏らの証人喚問を実現し、真相を徹底究明すべきです。


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