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日本共産党

2018年6月27日(水)

原発ゼロへ基本法制定必ず

日本共産党原発・エネルギー問題対策委員会責任者 藤野保史衆院議員に聞く

 今年3月9日に野党4党が衆院に共同提出した「原発廃止・エネルギー転換を実現するための改革基本法案」(「原発ゼロ基本法案」)は今月、衆院経済産業委員会に付託されました。28日には幅広い国民運動で実現を目指して、東京で市民の集会が開かれます。賛同者の一人でもある日本共産党の藤野保史衆院議員、党原発・エネルギー問題対策委員会責任者に同法案の意義について聞きました。


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(写真)日本共産党原発・エネルギー問題対策委員会責任者 藤野保史衆院議員

 ――法案の意義を改めてお話しください。

 この法案は、東京電力福島第1原発事故後の毎週金曜日の官邸前行動をはじめとした、原発ゼロ、再稼働反対の全国の運動、各地で長年積み重ねられてきた原発建設反対運動など、全国の草の根のたたかいと、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連、会長=吉原毅・城南信用金庫顧問)が1月に発表した「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案(骨子案)」の提案が合流して実を結んだ結果です。

 そうしたたたかいにも背中を押されて、立憲民主党、日本共産党、自由党、社会民主党の野党4党が共同提出した、国政史上初めて原発ゼロを掲げた法案です。政治の意思として原発ゼロを決断するということが立法趣旨で明確にされた、非常に画期的なものです。

 今後、野党共闘の大きな柱になるものですし、参議院選挙に向け国民的な世論、それに支えられた野党共闘のうねりをつくっていく上で、非常に大きな意義があると思っています。

 現状は、衆院経済産業委員会に付託されていて、与党が審議に応じると言いさえすれば、審議できます。国会の会期が延長された中、何としてもこの法案を審議しろと強く求めていきたいです。

 ――国会審議実現のために何が必要ですか。

 国会内では、各党と連携し、法案の審議入りを求めていきますが、やはり世論がカギだと思います。

 28日に、「さようなら原発1000万人アクション」と「原発をなくす全国連絡会」共催で、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が協賛する集会があります。「原発ゼロ基本法案」の実現を市民と野党の共闘の柱の一つとして、各地で共同を築いていくことが重要です。原発ゼロの実現を現実的に推し進める基本法案ができたので、今度はそれを国民のものにしていくために、市民と野党の財産として広げていきたいです。

 法案は非常に豊かな内容がありますが、まだまだ知られておらず、内容を広げていく活動にも力を入れていきたいと思います。

市民との結びつき生かす

立地自治体の経済も国の責任

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(写真)全原発の速やかな停止・廃炉を掲げた「原発ゼロ基本法案」を阿部優子衆院委員部長(中央)に提出する野党4党。左から3人目は日本共産党の笠井亮政策委員長、右端は高橋千鶴子衆院議員=3月9日、国会内

 ――法案の内容について、その特徴を教えてください。

 まずは、原発は動かさないということです。動いている原発は止めるし、停止中の原発の再稼働は許さないという点が肝になっています。

 同時に立地自治体の雇用や経済について、しっかりと国の責任も明示しています。事業者の協力義務という形で、事業者にも役割を果たすことを求めています。ですから、立地自治体を含めて一致できる中身です。

再生エネ普及

 2030年までの目標として、2010年比で30%以上の省エネを実現するとともに、太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電力供給を40%以上にすることを掲げています。政府内に原発廃止・エネルギー転換改革推進本部を設置することも盛り込んでいます。

 日本はすでに福島原発事故後、2年近く稼働原発ゼロを経験し、その後も原発の電力比率は2%未満です。原発ゼロでも十分にやっていけます。一方、再生可能エネルギーは今、世界ではコストがどんどん下がって、風力や太陽光が爆発的に増えています。この法案が現実的で、世界の流れとも合致する方向を示しているのです。

 ――一方、原発に固執する安倍政権の矛盾も明らかになっています。

 日本は、余ったプルトニウム量を米国から削減しろと言われ、さらに政府の核燃料サイクル継続の柱にねらう高速炉開発計画で共同開発するフランスから計画縮小が発表され、その破たんはいよいよ明らかです。しかし、エネルギー基本計画案など政府がこの間発表してきていることは、こうした現実を反映していません。政府は、現状との矛盾について説明責任があり、この点も追及する必要があります。

再稼働はだめ

 ――原発再稼働が争点となった新潟知事選がありましたが。

 新潟県知事選は、池田千賀子候補が当選できず残念でしたが、県民世論が再稼働を容認したわけでは全然ない。相手候補は、最終盤になって、事故原因など三つの検証が終わるまで再稼働の議論をしませんとか、再稼働の是非は県民に信を問いますとか、野党候補と同じ内容の全面広告を新聞に3回も出しました。県民は、原発を動かしてほしくないのです。しかし、選挙が終わったら新知事は、舌の根も乾かないうちに再稼働がありうるというようなことを言っています。再稼働はだめだという世論を可視化していく上でも、この法案を広げていく運動が、非常に重要だと思います。

 ――日本共産党はどう取り組みますか。

 法案を広げていく上でも日本共産党が役割を果たさなくてはいけないと決意を新たにしているところです。

 日本共産党は2012年にすべての原発から直ちに撤退する政治決断を明確に求める提言を発表しています。国会論戦では、原発の「異質な危険」を明らかにし、追及してきました。原発ゼロを求める運動を市民とともに続けてきました。運動を通した草の根の結びつきを今度は、基本法実現に向けて生かし、全力をあげたいと思います。

あす市民集会

■原発ゼロ基本法の制定をめざす市民のつどい

 28日午後7時~

 東京・なかのZEROホール(JR中野駅、東西線中野駅から徒歩8分)


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