しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月21日(木)

余裕も大義もなく会期延長

自民・公明 党略むき出し

 政府・与党は、20日に会期末を迎えた今通常国会を7月22日まで32日間も延長する暴挙に出ました。残業代ゼロ制度などを柱にした「働き方改革」一括法案や、民間賭博場を合法化するカジノ実施法案などを何がなんでも成立させるためです。そもそも、財務省による公文書改ざん、廃棄、虚偽答弁や自衛隊「日報」の隠ぺいなどで国会審議の土台が崩壊しているもとで、国民の信頼も失った安倍内閣に国会会期を延長する資格などみじんもありません。(国会取材団)


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(写真)会期延長を決めた衆院本会議=20日

野党、結束固め対決

 「野党軽視、国会軽視、ひいては国民軽視だ」。20日の記者会見で日本共産党の小池晃書記局長は、政府・与党による会期延長をこう批判しました。

 今回の会期延長のやり方は極めて強引です。安保法制=戦争法強行のために95日間の国会会期延長を強行した2015年の通常国会では、与野党書記局長・幹事長会談で自民党が野党に対し延長について説明し、理解を求めるなど、一定の配慮を行っていました。しかし、今回は野党に対する説明は一切なく、与党だけで会期延長方針を一方的に決めて衆院議長に申し入れ、「数の力」で延長を強行したのです。

 野党は今国会で、「森友・加計」疑惑や「働き方改革」法案などをめぐり、政府に対する合同ヒアリングを約100回も開催してきたほか、党首会談、書記局長・幹事長会談、国対委員長会談を頻繁に開いて協議し、国会審議でも野党は政府・与党への徹底追及に結束して取り組んできました。

 厳しい追及で追い詰められた安倍首相以下政府・与党は、内閣支持率も急落し、国民からも信頼されなくなったもとで、厳しく対(たい)峙(じ)する野党と胸襟を開いて話し合う余裕も、顔向けできる大義もなく、悪法成立のためには「数の力」だけに頼って国会会期延長を強行せざるをえなくなったのです。

 延長が強行された20日、野党は書記局長・幹事長会談、国対委員長会談を断続的に開き、大義のない会期延長を厳しく批判するとともに、引き続き疑惑追及、悪法阻止のために結束して政府・与党に迫っていく決意を固めました。

働き方改悪もカジノも

根拠崩れ世論に背く

 会期延長をしてまで成立を狙う「働き方改革」法案は、立法の根拠が総崩れとなっています。

 法案の柱となっている残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)をめぐって厚生労働省は高プロの必要性について12人から聞き取りをしましたが、調査したのは法案要綱の作成後。アリバイづくりの調査にすぎないことが次々明らかになりました。必要性の根拠を示せない法案は撤回し、労働政策審議会で検討し直すべきです。世論調査では今国会で「成立させるべきと思わない」が58%(「読売」)と多数です。

 カジノ実施法案も、各種世論調査で、今国会で成立させる「必要はない」が7割(「朝日」)です。

 そもそも刑法で禁じられた賭博をなぜ合法化できるのか。政府は全く説明できないどころか、公明党の石井啓一カジノ担当相も「弊害を心配する声が多い」と認めました。

 政府は面積の上限規制を外し、世界最大規模のカジノ施設を造ろうとしています。カジノ事業者には客への金の貸し付けを認め、過剰貸し付けへの歯止めはありません。

 法案強行を急ぐのは、統一地方選まで期間をおきたいという公明党の党利党略からだと指摘されています。

 多重債務・ギャンブル依存症を増やすだけの法案は廃案にするしかありません。

選挙制度まで私物化を狙う

 会期延長を数の力で強行した政府・与党の横暴な姿勢は、延長の理由の一つに持ち出され成立が狙われている自民党の参院選挙制度「改革」案(公選法改定案)にも表れています。同案は、参院の「合区」で自民党候補を擁立できない県の候補者を優先的に当選させるため、現行では非拘束名簿式だけの参院比例区に拘束名簿式を導入しようというもの。まさに、党利党略で選挙制度まで私物化しようという案に他なりません。

疑惑の真相究明こそ

 改ざん、ねつ造、隠ぺい、廃棄、虚偽答弁―。今国会では、国民主権と議会制民主主義を破壊する安倍政権の歴史的犯罪行為が次々と繰り返されてきました。これらの犯罪行為は、すべて安倍晋三首相のウソの答弁につじつまを合わせるために行われてきたもので、前代未聞の事態を引き起こした安倍首相の責任は免れようがありません。

 そのうえ、国会審議を通じて、安倍政権が今も隠ぺいを続けている実態も明らかになっています。日本共産党の辰巳孝太郎議員は、財務省と国交省が文書の公表についてすり合わせを行っていた記録を暴露。そこには、「出すのが得策かどうか検討」「最高裁まで争う覚悟で非公表」と記されていました。

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる疑惑では、加計孝太郎理事長が問題発覚後、初めて記者会見をしましたが、安倍首相との面会を根拠も示さずに否定するだけ。疑惑にまともに答えない姿勢は安倍首相も同じで、真相はまったく明らかになっていません。

 国民と国会を欺き続ける安倍政権の手法をこのまま許せば、議会制民主主義は土台から破壊されてしまうことなります。疑惑の真相と責任を明らかにすることは最優先すべき政治の責任です。

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