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日本共産党

2018年6月18日(月)

きょうの潮流

 梅雨空に映えるアジサイ。見ていると、なんだか心がなごみます。南北に連なる列島を彩る風情豊かな季節の知らせは、私たちのくらしが自然とともにあることを想起させます▼夜に幻想的な光を放つホタルもその一つです。梅雨前線の一歩先をゆくように北上。気象庁によれば今年のゲンジやヘイケボタルの初見日は4月下旬の熊本から始まり、いまは東北地方に達しています▼万葉集や古今和歌集に歌われているように古来日本人はホタルの光にさまざまな思いを寄せてきました。それを愛(め)でる文化がひろく庶民にまで浸透していったのは江戸時代から。初夏の風物詩は列島の原風景として各地に息づいてきました▼しかし、いまでは周りから姿が消えかかっています。川の汚れや農薬による汚染、開発による生息地の消滅、集中豪雨や巨大台風の影響も。自然の豊かさを示す指標にもされてきたホタルの激減は、人間がいかに環境を悪化させてきたかを物語っています▼同じ人の手でホタルを呼び戻す活動も増えてきました。広島・三次市の青河では町をあげての環境保全で清流を守り、毎年ほたる祭りを開いています。有機栽培や工夫を凝らし水田に再び光をともした地域も。記者が住む多摩の一角でも地元で育てたホタルの乱舞が見られるようになりました▼暗闇にきらめく美しい光に、人びとは連綿と時々の感情を込めてきました。舞う光のその先にある自然を慈しむ。それが将来にわたる人間とホタルの共生につながっていくはずです。


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