2018年6月17日(日)
主張
辺野古「土砂投入」
米軍新基地は決して造れない
沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、安倍晋三政権は8月中旬に埋め立て海域の一部に土砂を投入しようとしています。安倍政権は県民多数の意思に反し、建設工事の詳しい実施設計や環境保全対策に関する県との事前協議も終わっていないのに、埋め立てに必要な岩礁破砕許可さえ得ないまま、護岸工事に着手してきました。その上、土砂投入の強行は無法の極みです。既成事実をつくり、県民の諦めを誘う卑劣な企てです。しかし、工事は深刻な行き詰まりに直面しているのが実際です。追い詰められているのは安倍政権に他なりません。
超軟弱地盤で工事が中断
防衛省沖縄防衛局は12日、新基地建設のための埋め立て海域の一部で土砂投入を8月17日に開始すると県に通知しました。
前知事による埋め立て承認の際の「留意事項」は、政府が▽工事の実施設計について事前に県と協議する▽同設計に基づき環境保全対策、環境監視調査などについて詳細に検討し県と協議する―と定めています。ところが、沖縄防衛局は昨年4月、県との事前協議が調わないうちに護岸工事の着手を一方的に強行しました。
しかも、埋め立て海域を囲む堤防を造る護岸工事は、大量の砕石などを投下する岩礁破砕行為として県知事の許可が法令上不可欠ですが、沖縄防衛局は、前知事による岩礁破砕許可の期限が切れたというのに無許可のまま工事着手を強行しました。
しかし、護岸工事は計画通りに進んでいるわけではありません。埋め立て海域のうち大浦湾側の海域ではほとんど着手されておらず、工事は止まっています。重大な理由として指摘されているのは、護岸工事予定地付近の海底に超軟弱地盤が存在していることです。
防衛省が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した地質調査報告書によると、コンクリート製の巨大な箱(ケーソン)を投入して護岸を造る予定地付近に大きくへこんだ谷地形があり、そこに非常に緩く、柔らかい砂質土や粘性土が40メートルにもわたり堆積しています。マヨネーズのような非常に軟弱な箇所が多数あり、報告書は「構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須」と述べています。
護岸工事を進めるには大規模な地盤改良が避けられず、そのためには県知事による設計変更の承認が必要です。しかし、新基地阻止の立場を断固貫く翁長雄志知事が承認することはあり得ません。
建設工事自体が行き詰まっているのに、一部海域だけに土砂を投入して埋め立てを先行させようというのは、県民を諦めさせるための既成事実づくりが唯一の狙いであることを示しています。
翁長県政を断固守り抜く
今、朝鮮半島をめぐる平和の激動の下、「北朝鮮の脅威」や「抑止力」という安倍政権の新基地建設の口実も崩れつつあります。
翁長知事は沖縄防衛局が土砂投入の通知をした12日、「看過できない事態となれば、躊躇(ちゅうちょ)なく(埋め立て承認の)撤回を必ず行う」と語っています。11月の沖縄県知事選挙で翁長県政を守り抜き、発展させることができれば新基地は決して造れない―。今こそ、沖縄の不屈のたたかいに全国が固く連帯することが必要です。