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2018年6月13日(水)

主張

沖縄・米軍F15墜落

命と安全脅かす悪循環を断て

 またも沖縄で米軍機の重大事故が発生しました。米空軍嘉手納基地(嘉手納町、北谷町、沖縄市)配備のF15戦闘機が那覇市の南海上に墜落しました(11日)。沖縄では米軍機の事故・トラブルが頻発しており、原因の究明が尽くされないままに飛行再開が強行され、また事故・トラブルを引き起こすという悪循環が繰り返されています。翁長雄志知事が「こうした状況では将来の子や孫に責任が持てない」と強く批判したように、県民の命と安全を脅かす事故の連鎖を根本から断つ必要があります。

原因究明と飛行停止を

 1972年の沖縄の日本復帰後に県内や近海、周辺の訓練区域で起きた米軍機の墜落事故は48件目になりました。このうち79年に嘉手納基地に配備されたF15の墜落は機種別で最も多く10件目です。沖縄の米軍機は1年に1度、嘉手納基地のF15は4年に1度の割合で墜落事故を起こしていることになり、あまりに異常です。

 沖縄では、嘉手納基地と米海兵隊普天間基地(宜野湾市)の二つの航空基地に配備された米軍機の重大事故が多発しています。

 2016年12月には普天間基地所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部沿岸の浅瀬に墜落、17年10月には同基地所属のCH53E大型輸送ヘリが東村高江の牧草地に不時着し大破・炎上、同年12月にCH53Eの窓が宜野湾市立普天間第二小学校に落下など枚挙にいとまがありません。

 嘉手納基地のF15も17年5月と今年2月に部品やアンテナを落下させる事故を起こしています。

 嘉手納基地のF15が所属する第18航空団は、今回の墜落事故を受け、「運用、整備、安全確保の手順を見直す間、F15の訓練を一時的に中止する」と発表しました。事故原因の解明を待たず飛行再開の危険があります。沖縄県や基地周辺の3市町などが求めるように、原因の究明と公表までの間、同型機の飛行停止が最低限必要です。

 嘉手納町の當山宏町長が今回の事故の背景として、常駐機と沖縄以外からの「外来機」による「嘉手納基地の運用の激しさ」を指摘していることも重要です。

 今回墜落したF15は、計7機で訓練中だったとされます。7機の中には嘉手納基地に暫定配備されたF22ステルス戦闘機が含まれていた可能性が指摘されています。

 嘉手納基地では、昨年10月末から暫定配備されていたF35Aステルス戦闘機12機が5月上旬に帰還したばかりです。ところが、5月下旬から計14機のF22が米本国から配備されています。嘉手納町議会は、F22の暫定配備に抗議する決議・意見書で「近年、米軍の傍若無人な嘉手納基地の運用は受忍限度をはるかに超えている」と批判しています。

当事者能力欠く安倍政権

 米空軍は5月上旬、死傷者を出す重大事故が相次いでいるのを受け、全ての航空機の飛行を1日停止して安全点検を実施していました。今回のF15の墜落事故はその直後に発生しました。

 防衛省は米側に対し、情報提供や安全管理、再発防止策の徹底を申し入れただけで、飛行停止さえ求めていません。嘉手納基地への「外来機」の飛来も容認しています。「当事者能力がない」(翁長知事)ことは明白であり、安倍晋三政権の責任は極めて重大です。


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