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日本共産党

2018年6月12日(火)

「資本論」の中の未来社会論 縦横に

不破社研所長が講演

労働者教育協会 学習会

 日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は10日、労働者教育協会の第58回総会に続いて東京都内で開かれた学習会で、「『資本論』のなかの未来社会論」と題して約2時間にわたり講演しました。総会の代議員ら約80人が参加しました。


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(写真)「『資本論』のなかの未来社会論」を講演する不破哲三社研所長=10日、東京都文京区

 主催者あいさつした労働者教育協会の山田敬男会長は、現在作業中の同協会の教科書改定で「最大の目玉が未来社会論」だと述べ、この問題を深めるために不破氏に講演を依頼したと述べました。

 不破氏は、マルクスの経済学研究の中心テーマの一つであり結論が未来社会論だと強調。マルクスは「資本論」全巻にわたって未来社会にさまざまに言及していると述べ、該当箇所のすべてを資料として紹介しながら、マルクスの未来社会論の豊かな内容を語りました。

 不破氏は、資本主義の運動の根本原理は「利潤第一主義」であり、社会によって強制されるのでなければ労働者の健康と寿命になんらの顧慮も払わないこと、それにもかかわらずその中で新しい社会の土台を否応なしにつくり上げることを指摘しました。これに対して、「生産手段の社会化」が実現した未来社会では(1)生産者が主役の社会となり(2)人間の自由な発展が経済発展の主要な目的となるなど経済活動のあり方が変わり(3)資本主義時代の浪費と無駄が一掃され、経済の飛躍的発展の新しい時代が始まる―ことなどを、「資本論」の関係箇所を紹介しながら詳しく解明しました。

 その中で不破氏は、マルクスが未来社会では人間の能力の発展が経済発展の動力になると解明していることに「未来社会の核心」があると強調しました。そして、マルクスが人間の自由な時間という問題を「資本論」を執筆する中で「1本の糸のように追求」した到達点が「必然性の国」(社会を維持するために必要な物質的生産に従事する時間)と「自由の国」(物質的労働という義務から解放された自由な時間)という問題だと指摘。「資本論」の叙述を示して詳しく解明し、未来社会では労働時間の短縮によって「自由の国」が拡大され、人間の力の発達が保障されるという大きな展望を語りました。

 また、不破氏は、格差、原子力、地球温暖化、生産のロボット化など現在の資本主義社会がぶつかっている問題に話を進め、こうした危機と矛盾の中から「未来社会の足音が聞こえてくる」と述べ、未来社会になってこそそれらの問題も解決されると強調しました。

 不破氏は参加者からの質問に答えて、日本における「生産手段の社会化」について、日本共産党の綱領では「多様な形態をとりうる」と幅のある見方を明記していることを紹介し、「どういう形で実現するかは、われわれや次の世代が実地にぶつかって探求する問題」だと語りました。


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