しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年6月12日(火)

主張

「森友」問題

売却・値引きの真相を究明せよ

 安倍晋三首相の妻・昭恵氏が「名誉校長」を務めた小学校を森友学園が開設するため、国有地が当初は異例の貸し付けで、その後は8億円余りも値引きした安値で払い下げられた問題の解明が尽くされていません。財務省は改ざんした決裁文書などの国会提出や交渉記録を廃棄した問題では一部調査し認めましたが、肝心の払い下げについては検証しません。日本共産党の調べで格安払い下げを調査した会計検査院を財務省と国土交通省が欺こうとしていたことまで明らかになったのは重大です。

会計検査院も欺く謀議

 国有地は国民の共有財産であり、その違法な処分は背任罪にも問われる重大犯罪です。政府から独立して調査活動を行う会計検査院も昨年11月、8億円を超す値引きは根拠がないと報告したのに、財務省はいまだに建設予定地から出たゴミの処理のためだったなどとごまかし、言い訳を続けています。財務省が先週発表した調査報告も、あくまでも決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄についてで、改ざん前文書や職員が保管していた記録などを一部公開したものの、異常な値引きそのものの検証ではありません。

 会計検査院が国会の要求で格安払い下げを調査していた昨年9月、国有地を処分した財務省理財局の太田充局長と管理していた国交省航空局の蝦名邦晴局長が対応を協議した記録が日本共産党の調査で明らかになりました。値引きの根拠とされるゴミ撤去費について「『総額』を(検査院の)報告書から落とす」「『金額』よりも『トン数』のほうがマシ」などと話し合っていたのです。検査院にも国会にも格安払い下げの真実を隠す、卑劣な隠ぺいです。財務・国交両省は文書を突きつけられても、事実を認めようとしません。

 開設を予定した小学校の建設用地として、「森友」が大阪府豊中市内の国有地に目をつけ、購入が原則なのに、当初は借り入れにできないかと働きかけ、賃料も値切ったあげく、用地からゴミが出たことにして、破格な安値で購入した経過は明らかになっています。難航した賃貸交渉の突破口となったのは2014年4月28日に学園が近畿財務局との交渉の際、昭恵氏が建設予定地を訪れ、「いい土地ですから、前に進めてください」と発言した際の写真を示したことです。その後交渉は一気に進み、学園の籠池泰典前理事長は「神風」が吹いたと表現しました。

 大幅値引きも、16年3月に用地から新たなゴミが出たと学園が言い出し、3月30日の財務局との交渉で「6月の棟上げ式には首相夫人を招待する。できなければ切腹する覚悟」などと主張したのがきっかけです。その後財務局は鑑定価格からゴミ撤去費8億2千万円を差し引き1億3千万円で売却する契約を結びます。

直ちに証人喚問に応じよ

 財務省と国交省の検査院の調査を前にした口裏合わせは、値引きに根拠がなかった証明です。違法な値引きの徹底調査が必要で、そのためには財務・国交両省や学園関係者はもちろん、昭恵氏らの国会への証人喚問が不可欠です。

 昭恵氏の関わりを否定する安倍首相も、なぜ大幅値引きされたかが「本質」だとは言います。格安払い下げの徹底検証から逃れることは絶対許されません。


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