しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年6月5日(火)

参院本会議 「働き方改革」一括法案

山下副委員長の質問(要旨)

 日本共産党の山下芳生副委員長が4日の参院本会議で行った「働き方改革」一括法案に対する質問の要旨は以下のとおりです。


 政治家にとって言葉は命です。たとえ自らに不都合なことでも、真実に真摯(しんし)に向き合う姿勢があるなら、言葉は国民の心に響くでしょう。しかし総理の言葉にはそれがない。あなたにとって言葉とは何か。あなたの言葉は国民の心に響いているとお考えですか。

 「過労死の悲劇を二度と繰り返さない」――総理の言葉です。全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は衆院の意見陳述で、「過労死防止法に逆行する働き方改革関連法案、強行採決は絶対にやめてください」と訴えました。あなたの言葉は遺族に響いてないことをどう受け止めますか。遺族が求めた総理との面会を拒否したのはなぜですか。

 法案の根拠である労働時間調査で、ねつ造や異常値が次々発覚しました。加藤(勝信)厚労大臣は「結論には変わりがない」といいますが、精査の結果、特別条項付き労使協定を結ぶ事業場で、年間時間外労働が1000時間超の企業の割合が3・9%から48・5%に跳ね上がりました。

 2015年2月20日の衆院予算委で、志位(和夫)委員長が経団連役員企業の8割が月80時間の過労死ラインを超える残業協定を結んでいる実態を示し、「異常と思わないか」とただしたのに対し、総理が「実際はこんなにしょっちゅう残業しているわけではなくて、念のために結んでおく」と答弁した根拠が、この精査前のデータです。志位委員長への答弁は撤回し、根拠が崩れた法案を労政審に差し戻すのが当然ではありませんか。

 時間外労働の限度を月45時間、年360時間と法定化しますが、特別に事情があれば単月100時間未満、2~6カ月平均で80時間の残業を可能にします。罰則を設けても過労死水準の残業に国がお墨付きを与えるだけで、月をまたいで業務が集中すれば30日間で160時間残業もあり得ることが明らかとなりましたが、歯止めはないと認めますか。

 ILO(国際労働機関)は労働時間に関し18本も条約を採択しています。一本も批准していない先進国は日米だけです。長時間労働をなくすというなら、条約を批准し国内法を整備すべきです。

 法案が導入する「残業代ゼロ制度」の高度プロフェッショナル制度は、労働時間規制を全面的に適用除外し、8時間労働制を根底から覆し、戦後の労働法制を否定する制度です。24時間労働が48日連続しても法的に排除されず、すべて自ら選択したものとされ、過労死が自己責任にされてしまいます。「高プロ」導入で過労死をなくせるのですか。

 企業に「健康管理時間」を把握させ、加藤大臣は「(残業相当分が)月100時間を超えれば医師が面談する」といいますが、過労死水準を超えてから「医師の面談」を受けても労働者の命と健康は守れません。過労死とサービス残業を合法化し促進するだけです。

 過労死したNHK記者・佐戸未和さんの母・恵美子さんは「午前3時まで働き、朝6時に出社。インターバル規制があれば娘は死ななくてすんだ」と語っています。過労死をなくすというなら、連続11時間の勤務間インターバルをなぜ義務づけないのですか。

 だれもが「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をつくることこそ国民が求める働き方改革であり、日本の経済と社会をまともに発展させる道です。


pageup