しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月25日(金)

きょうの潮流

 芥川賞作家の笙野(しょうの)頼子さんが長編小説『植民人喰(く)い条約 ひょうすべの国』でTPP(環太平洋連携協定)発効後の日本の惨状を描出し、反対ののろしを上げたのが1年半前。それ以前もそれからも、ずっとTPP阻止の活動を続けています▼膠原(こうげん)病を抱え、保護した猫たちを養い、見送り、今も老猫の看病をしながら筆一本で生活する笙野さんにとって、TPPはくらしと命を脅かす恐怖の条約です▼病を押して政府の説明会に出かけては難病患者としての疑問を述べ、TPP交渉差止・違憲訴訟の会にも入りました。自民党に反対のファクスを送り(共産党には励ましの)、自民党農林部会長・野村哲郎参院議員には次のメールを送りました▼〈TPP反対。農協から郵貯から貯金は海外に持ち去られる。荒廃した農地、もしそこが海外からくる核廃棄物の置き場にされてもISDS(投資家対国家の紛争処理)裁判で正当化される。医療は崩壊し食物には農薬。公害で病気にされ医者にかかれない。種子と水道は奪われたまま。自由貿易は人喰いのすること。批准してはいけない。日本を世界企業の奴隷にしてはいけない〉▼返事は無し。でもあきらめません。「まだ頑張れば助かるような気がしている」と。『ひょうすべの国』の続編も執筆中です▼「私はただ、自分自身が当事者であることだけを書いてきた」という笙野さん。小さくても生き延びようとするものとともに在り、それをつぶす権力と闘うことが文学の真価なのかもしれません。


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