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日本共産党

2018年5月23日(水)

安倍政権 負担増・給付減を加速

社会保障拡充の道こそ

 安倍政権は、約20年後の2040年度の社会保障給付費が、高齢化で今より1・6倍化するとした推計結果を大義名分にして、庶民負担増・給付減の議論を加速させようとしています。“社会保障費が増えるんだから仕方ない”と国民を諦めさせる得意の手法ですが、国民の命と健康は脅かされる一方です。その抜本的転換こそが求められています。

 政府の推計結果は21日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で初めて公表したもの。65歳以上の高齢者数がピークとなる40年度の社会保障給付費が最大190兆円に達し、18年度の1・6倍に膨らむとしました。社会保障費を賄う保険料は37兆円増、税金は33兆円増が必要だとしました。

 この結果を「議論の素材」としたうえで、麻生太郎財務相はさっそく「特に給付と負担の見直しは避けられない」と述べ、財界などの民間議員は「19年10月の消費税率(10%への)引き上げが重要」だと求めました。

 しかし、国民生活の実態はどうか―。安倍首相が政権復帰した12年末から5年間をみると、大企業・富裕層優遇のアベノミクスで格差と貧困が拡大。社会保障の負担増・給付減は6兆5千億円にのぼり、金融資産がない人は400万世帯も増えて全世帯の3割強に達しています。お金がなくて治療が手遅れになり、死亡した人が全日本民主医療機関連合会の調べで17年は63人いました。

 にもかかわらず、安倍政権は今年4月からも、介護保険料の引き上げや、75歳以上の低所得者に対する医療保険料の軽減特例の縮小などの改悪を国民に押し付けました。財務省は75歳以上の医療窓口負担を2割に引き上げるなど、さらなる改悪メニューの実現まで示しています。

 そのうえ、社会保障の維持・拡充を人質にして消費税を予定通り10%に引き上げようというのです。安倍政権の“看板政策”である「幼児教育・保育の無償化」や、低すぎる介護職員の賃上げも消費税増税が大前提です。これら国民の願いが一定前進しても、消費税増税で格差と貧困はますます拡大します。安倍政権の社会保障費抑制路線からの抜本的な転換が必要です。

 低所得者ほど負担が重くのしかかる不公平税制=消費税に頼らなくても、社会保障を拡充することは可能です。日本共産党は、大企業・富裕層に応分の負担を求める税の集め方の改革や国民の所得を増やす改革、社会保障や教育を優先にした税の使い方の改革によって、日本経済を再生する道を掲げています。

(松田大地)


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