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2018年5月23日(水)

主張

愛媛県提出新文書

安倍首相の進退が問われる

 「加計学園」の獣医学部開設をめぐり、愛媛県が21日国会に提出した新文書は衝撃的な内容でした。すでに明らかになっている柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が県や今治市、学園関係者と面会するより前の2015年2月25日、安倍晋三首相が学園の加計孝太郎理事長と面談し、学部開設について説明を受け「いいね」とコメントしていたというのです。首相はこれまで国会で加計氏から開設の相談や依頼があったことは一切ないと繰り返し、計画を初めて知ったのは昨年1月だとしてきました。新文書はそれを覆すものです。国会を欺いた首相の進退が問われます。

否定は全く通用しない

 安倍首相は当日質問に答えず翌日(22日)になって慌てて面談を否定しました。愛媛県新文書には22日付主張でも触れましたが、看過できない国政上の大問題です。

 愛媛県の中村時広知事が参院予算委員会の求めに応じて県庁内を調査し、国会に提出した文書は、柳瀬元秘書官との15年4月2日の官邸での面会に関連したものです。2月25日に加計理事長が安倍首相と面談、今治市に設置予定の獣医学部では国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明し、首相から「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と言われたと明記した文書がありました。

 理事長と首相の面談は文書の他の部分でも再三登場し、その中には「理事長と総理との面会を受け、同(柳瀬)秘書官から資料提出の指示あり」などの文言もあります。首相の面談がきっかけとなり、官邸や内閣府などが動いた可能性は極めて濃厚です。15年2月と言えば県と今治市が「国家戦略特区」に名乗りを上げ、安倍政権が「日本再興戦略」で獣医学部開設の条件を決める時期より半年近く前です。早くから学園の計画を意識して、「加計ありき」「安倍ありき」で検討したことは明らかです。

 安倍首相はこれまで国会で、加計氏は長年の友人だが「私の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことは一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ない」と主張し、学園の計画を初めて知ったのは「国家戦略特区」の今治市での獣医学部開設が決まった昨年1月だと説明してきました。学園は「国家戦略特区」以前の「構造改革特区」でも繰り返し獣医学部開設を申請していましたが、首相はそれも知らなかったと答弁しました。

 愛媛県新文書の通りなら、首相は国会で虚偽答弁を続けてきたことになります。首相は面談を否定しましたが、根拠は示せません。同じ文書の中で学園関係者と15年2月に会ったと指摘された加藤勝信官房副長官(当時、現厚労相)は面会を認めています。一連の愛媛県文書の信ぴょう性は高く、首相の全面否定は通用しません。

立法府の役割の発揮を

 愛媛県の新文書には柳瀬氏が面会で「首相案件」「総理案件」と発言した復命書や出席者の概要メモ、首相と理事長の会食の際、下村博文文科相が消極的だったので官邸に働きかけてほしいと学園に要望されたという内容もあります。

 首相が長期間にわたって虚偽答弁で国会を欺き続けてきたとすればことは重大です。愛媛県新文書は国会の求めに応じて提出されたものであり、疑惑を徹底解明する国会の責任と役割が重要です。


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