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日本共産党

2018年5月22日(火)

主張

「加計」面会文書

知事発言の重みを受け止めよ

 安倍晋三首相の長年の友人が理事長の「加計学園」の獣医学部開設のため、首相や官邸が関与したと疑われる問題への怒りと不信が高まっています。とりわけ柳瀬唯夫首相秘書官(当時)が「国家戦略特区」で獣医学部を開設すると愛媛県今治市が名乗りを上げる前に、「加計」の関係者と官邸で3回も面会したことを認めながら首相の指示や報告を否定し、首相もそれを肯定したことに、愛媛県の中村時広知事が全面反論。県作成の新たな内部文書も明らかにしました。関係者の証人喚問、知事の国会招致はいよいよ必要です。

約8割が納得していない

 安倍首相や柳瀬氏の国会での説明で「疑惑は晴れていない」が83%(「朝日」21日付)、首相の説明に「納得できない」が77%(「読売」同日付)―最新の世論調査結果です。柳瀬氏の発言の後発表された調査でも、7~8割が「納得できない」「疑惑が深まった」と答えています。国民のほとんどが納得していないことを示しており、国有地を格安で払い下げ、公文書を改ざんした「森友」問題や自衛隊の「日報」隠ぺい問題などとともに、徹底的に解明しなければ国民の疑念は解消しません。

 先々週の衆参予算委員会で柳瀬氏が、3回も「加計」関係者と会ったことを認めながら首相の指示や首相への報告を否定、先週の国会では首相自身が「問題がない」と開き直りましたが、首相の分身ともいえる首相秘書官の行動として全く説得力を持ちません。柳瀬氏は加計孝太郎理事長が首相の友人であることを知って、「加計」関係者と面会したと認めました。一事業者との異例な面会が「加計」を特別扱いしたのは明らかです。

 柳瀬氏や首相の説明を根本から突き崩したのが中村知事の発言です。柳瀬氏は学園関係者と面会した時、県や市の関係者がいた「記憶がない」と言いましたが、知事は柳瀬氏から渡された名刺や座席順、職員の発言メモなどを明らかにして反論しました。このことだけでも柳瀬氏の説明が信用できないのは明白です。

 県が以前明らかにした面会記録に、柳瀬氏の「本件は、首相案件」との発言があったことを柳瀬氏は「首相とは言わない」と打ち消そうとしました。しかし知事は「総理と首相は同義語」と反論し、首相の関与を浮き彫りにしました。柳瀬氏が学園関係者と面会したのを機に、内閣府や文部科学省にも官邸が働きかけ、内閣府は学園関係者と7回も面会しています。

 中村知事は21日、加計氏が2015年2月に安倍首相と面談し、獣医学部の構想について説明したと学園側から報告されたなどとする県作成の内部文書を国会に提出しました。首相は真相を語るべきです。加計氏らの証人喚問、中村知事の国会招致が不可欠です。

徹底究明と悪法阻止を

 「加計」問題だけでなく、安倍政権で後を絶たない改ざん、隠ぺい、ねつ造、セクハラなど国政の根幹を揺るがす問題に対し、安倍首相は「うみを出し切る」という発言を繰り返してきました。しかし実際には証人喚問や国会招致に背を向け、「森友」では改ざん前文書の資料提出を再三遅らせるなど、国会の解明に背を向けています。

 重大な疑惑は解明せず、「働き方」法案など悪法は強行するのでは、まさに国民無視の極みです。


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