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2018年5月17日(木)

来年度以降も 連続 負担増

安倍政権が社会保障改悪案提示

“国民皆保険が壊れる” 医師ら批判

 安倍政権は新たな「財政健全化計画」を6月にまとめるのに向け、国の社会保障費をさらに大幅削減する議論を進めています。国民生活に激しい痛みを強いるもので、関係団体は「削減先にありきだ」と反発しています。

 社会保障費の削減をめぐって、安倍政権は高齢化などに伴う「自然増」分の削減路線を続け、この6年間で予算の概算要求段階から計1兆6千億円も削減してきました。新たな「財政健全化計画」でも、2019年度から21年度まで3年間の社会保障費の自然増削減について、“目安”を示す構えです。

 麻生太郎財務相は8日の記者会見で、現行計画で18年度まで3年間の自然増を毎年5千億円に抑えてきた“実績”が「一つの目安として考えられる」と述べました。19~21年度の自然増は年7千億~9千億円(政府試算)に伸びるとしており、削減額は年2千億~4千億円にもなります。一方、財界は削減額のさらなる増額を迫っています。

 財務省は社会保障費の削減路線に沿って、次のような負担増・給付減を示しています。

 ▽75歳以上の人が支払う医療費の窓口負担を原則1割から2割に引き上げる▽比較的軽い病気のため窓口負担が少額だった人に追加負担を導入する▽介護保険の利用者負担を原則1割から2割に引き上げる▽ケアマネジャー(介護支援専門員)がケアプラン(介護サービス計画)の作成などを行う「居宅介護支援」に利用者負担を導入する―などです。

 さらに、少子高齢化などで医療費が増えれば、患者の窓口負担の割合(現役世代は3割)を自動的に引き上げる新たな仕組みづくりまで提案しました。

 これらの改悪メニューについて、日本医師会の横倉義武会長は「先に医療費削減ありきではない」ようにと苦言を呈しました(1日の記者会見)。

 全国保険医団体連合会は、窓口負担の自動引き上げ制度について「患者負担が『天井知らず』に引き上がり、国民皆保険制度が壊れる」(10日発表の声明)として撤回を要求。ほかの負担増の提案も「(患者の)受診抑制を引き起こすものだ」と批判しています。

 日本介護支援専門員協会は居宅介護支援の有料化について、代行業者によって利用者の「囲い込み」や「過剰なサービス提供」が起きるとして反対しています(4月の声明)。

 政府は“財政難”を改悪の口実にしていますが、大企業・富裕層ばかりを優遇する経済政策を転換すれば、社会保障改悪を中止して拡充させる財源は十分にあります。社会保障の拡充で格差・貧困を是正することこそが求められています。

(松田大地)

さらなる社会保障改悪メニュー

 【医療】

 75歳以上の医療費窓口負担を2割に引き上げ

 医療費増に応じた窓口負担の自動引き上げ

 窓口負担が少額ですんだ患者に追加負担

 【介護】

 居宅介護支援に利用者負担を導入

 老健施設などの多床室「部屋代」を利用者負担に

 【年金】

 年金を受け取り始める年齢を引き上げ


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