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日本共産党

2018年5月12日(土)

主張

海兵隊司令官発言

危険を常態化させ居直るのか

 沖縄県の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に隣接し、昨年12月に同基地所属の大型ヘリが窓を落下させる事故を起こした普天間第二小学校で、米軍機の接近によって児童を校庭から避難させた回数が345回(8日現在)にも達し、大きな問題になっています。その中で米海兵隊のネラー総司令官が、普天間基地は人の住んでいない土地に建設し、その後、周囲に市街地が広がったという事実をゆがめる発言(2日)をし、批判の声が上がっています。国際法違反の同基地の成り立ちや住民被害の深刻さを見れば、無条件・即時撤去が当然であることは明らかです。

校庭から避難345回

 普天間第二小では、昨年12月13日に普天間基地所属のCH53E大型ヘリが約8キロの窓を校庭に落下させる事故が起こりました。事故後中止していた校庭の使用を2月13日から再開していますが、体育の授業中や休み時間に米軍機が近づいてくると児童を避難させています。宜野湾市教育委員会によると、避難回数は2月13日から5月8日までで345回、1日に20回を超えた日も3日あり、最多は29回(3月6日)にもなります。

 米海兵隊は事故後停止していたCH53Eの飛行を再開する際、普天間第二小を含む全ての学校上空の飛行を「最大限可能な限り避ける」としていました。しかし、普天間基地を離発着する米軍機のため、児童の安全・安心、教育を受ける権利が恒常的に侵害されています。まさに異常事態です。

 もともと日米両政府は1996年に普天間基地の騒音規制措置として学校や病院を含む人口密集地上空や深夜早朝の飛行制限で合意していますが、「できる限り避ける」といった努力規定にすぎず、守られたためしがありません。

 沖縄防衛局が7日に発表した昨年度の米軍機の騒音調査では、普天間基地周辺の午後10時から翌午前7時までの騒音発生回数は計652回(測定地点4カ所)と過去5年で最悪となり、騒音被害は一層深刻化しています。同基地の所属機は各地で墜落などの重大事故も繰り返しています。

 この普天間基地の建設経緯に関し、ネラー米海兵隊総司令官が「普天間基地は非常に古く、第2次世界大戦にさかのぼる。建設時の写真を見ると、数キロ内に人は住んでいなかった。今は市街地が基地のフェンスまで迫っている」(米国防総省での会見)と述べたことは重大です。歴史の事実を無視した許し難い発言です。

 普天間基地が建設された場所は「役場や国民学校、郵便局、病院、旅館、雑貨店がならび、いくつもの集落が点在する地域」(沖縄県作成パンフレット)でした。「(沖縄戦で)住民が避難したり収容所に入れられている間に、米軍が利用価値の高い土地を強制的に接収したため、戻ってきた住民は自分の故郷に帰りたくても帰れず、その周辺に住むしかないという状況」(同)だったのです。普天間基地は、占領下の私有財産の没収を禁じた国際法(ハーグ陸戦法規)に違反した基地に他なりません。

新基地でなく即時返還を

 ネラー総司令官は会見で、名護市辺野古の新基地が完成するまで普天間基地の使用を継続する方針を示しました。しかし、普天間基地の返還に条件を付けることに何の道理もないことは明白です。


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