しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月4日(金)

韓国「特性化高校」卒業生

バイトと同じ賃金・セクハラ…

学歴差別ノー 労組結成

写真

(写真)1日、ソウル市内で労組結成の記者会見をする特性化高校の卒業生の組合員

 「人間らしい夢に向かって労組結成を宣言します」

 「特性化高校」の卒業生20人がメーデーの1日、ソウル中心部で記者会見を行い、職場での学歴差別やセクシュアルハラスメントなどを告発しました。

 特性化高校は、建設、機械など、特殊分野の職業教育を行い、専門人材の早期育成をめざす学校です。若年層の就職難が続いている昨今、就職に有利だと人気でした。

 しかし昨年11月、特性化高校の生徒が実習先で、機械に首を挟まれ死亡する事故が発生。使用者からまともな説明を受けず、安全対策もとられていなかったことが明らかになりました。この事故を機に、生徒たちから実習先での過酷な労働実態が告発され、特性化高校のあり方が社会問題となっていました。

 労組の設立宣言文は、社会に出てまず直面したのは、「侮辱と差別だった」とし、「悔しい死を終わらせるためにも、少しだけでも世界を変えようという意志で、労組を結成した」と表明。卒業生の就職環境の実態調査や、労働相談の実施などを求めています。

 記者会見に臨んだ卒業生のキム・ミョンギュさん(20)は「専攻と関係のない業務が多い部署で働いている」とし、「高卒だからと悪口を言われたり、相手にされなかったりする」と語りました。

 イ・ウンアさん(20)は、「高卒と大卒の給与の差が大きい」と告発。「大学生よりも3~4年早く社会に出ているという理由で、色眼鏡で見られている。人を学歴だけで見て嘲笑や差別をしている」と指摘しました。

 パク・ジョヨンさん(20)は、友人らの訴えを紹介。正規職の自分よりも労働時間の短いアルバイトの大学生と同賃金だったことや、若く弱い立場を利用され性暴力を受けた実態などを告発し、「全国の卒業生が劣悪な環境と法の下で働いている。早急な対策が必要だ」と強調しました。

 現在、結成を宣言した労組の組合員となる卒業生は約100人。彼らは、「毎年10万人が卒業している。多くの人に組合に関心を持ってもらい、参加してほしい」と訴えています。

 (ソウル=栗原千鶴 写真も)


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