2018年4月29日(日)
沖縄・うるま女性殺害から2年
日米地位協定の壁
米側は遺族への賠償拒否
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「今も娘を思いながら手を合わせて供養している日々です。生きていてほしかった」
沖縄県うるま市の女性(20)が元米海兵隊員で米軍属だった男性に暴行・殺害された事件から2年。遺族は痛苦の思いをつづった手紙を26日に公開し、3月には米政府に損害賠償を請求しました。しかし、米側は日米地位協定を理由に現在も支払いを拒否。被害者たちを置き去りにする日米両政府と同協定の弊害が浮き彫りになっています。
「公務外」で事件を起こした米軍関係者に支払い能力がない場合、被害者側は地位協定18条6項にもとづき米政府に賠償金を請求できます。しかし米側は、軍が被告を直接雇用していないために支払い責務はないと主張。日本政府は間接雇用の被用者も対象に含まれるとして、見解が割れたままです。
被告は民間のインターネット関連会社の社員として米空軍嘉手納基地で勤務していましたが、軍属として認定されていました。沖縄県議会の米軍基地関係特別委員会では「軍属の身分を与えながら、補償では米側のいう形になるのは看過できない」(謝花喜一郎前知事公室長、3月23日)と批判があがっています。
軍属は、軍の監督下にある文民の被雇用者。米軍人と同様に日米地位協定の特権を受ける立場でありながら、認定基準はあいまいです。米側によると軍属は約7048人で、うち民間雇用者は2341人です。(昨年年10月時点)
米軍関係者が公務外に起こした事件で、日本政府ができる被害者側への補償措置には、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)見舞金があります。96年に創設されて以降、公務外の事件は約2万件に上りますが、見舞金の支給は13件にとどまっています。