しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年4月16日(月)

きょうの潮流

 彼らの武器はスマホです。かつて「ユーフラテス川の花嫁」と呼ばれるほど美しかったシリア北部のラッカ。4年前に過激組織ISの首都とされてから街は一変してしまいました▼空爆によって廃虚と化し、残忍な公開処刑や拷問がくり返される。死の恐怖と隣りあわせの生活を強いられた市民たち。その惨状を国際社会に訴えようと結成された市民ジャーナリスト集団「ラッカは静かに虐殺されている(RBSS)」の活動を追った記録映画が公開されました▼ある勢力の支配が終わると、別の勢力が取って代わる。「アラブの春」の弾圧からつづく7年もの戦闘や流血は市民を極限まで追いつめています。化学兵器によって、もだえ苦しむ子どもたちの姿は胸が張り裂けます▼米英仏がそのシリアを軍事攻撃しました。化学兵器の関連施設に限ったといいますが、一方的な武力行使は事態を改善させるどころか、さらなる悪化を招きかねません▼国連事務総長が「この世の地獄」という内戦。米ロをはじめ、大国の思惑がそれを複雑化させています。自国第一主義の狭い考えにとらわれず、軍事介入では図れない解決の道を協力して探ることが求められます。米国の尻馬に乗るだけの日本などもってのほかです▼故郷や家を追われ、暮らしや命まで奪われる罪なき民。悲惨さを伝えつづける市民のたたかいは今も。彼らの苦悶(くもん)をみずからの痛みとし、この地に一刻も早く和平と安定をもたらす。そのために力を尽くすことこそ国際社会の役割です。


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