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2018年4月11日(水)

安倍首相の意向 「放送制度改革」

フェイクニュース・ヘイト横行の危険

 「政治的公平性」などを規定した放送法4条撤廃などを検討する政府の「放送制度改革」について、与党幹部や在京民放キー局幹部からも批判の声が上がっています。安倍晋三首相の強い意向で始まった動きですが、推進する顔ぶれや言動をみてみると、危険な狙いが浮かんできます。(藤沢忠明)


 注目されるのは、1月31日、楽天などITやベンチャー企業が主導する「新経済連盟」の新年会での首相のあいさつ。昨年10月の総選挙公示直前、インターネット番組配信サイト「AbemaTV」の「徹の部屋」という番組に出演したことにふれ、こうのべました。

 「ネットテレビでありますから、放送法の規制がかからない。しかし、見てる人たちにとっては、地上波などとまったく同じです。もう日本の法体系が追い付いていない。私たちは大きな改革を行わなければならない」

 「改革を進めていくためにも、皆さん、どうかリスクを取って、どんどん手を挙げていただきたい」

自分に都合いい

 この番組では、ホストの見城徹・幻冬舎社長が、「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」と持ち上げました。気心の知れたIT事業者たちに放送事業に参入してもらい、政権批判ではなく、自分に都合のいい番組を放送してほしいという狙いが透けてみえます。

 2月7日から規制改革推進会議の「投資等ワーキンググループ(WG)」(座長=原英史・政策工房社長)が、放送制度改革についての議論をスタートさせました。

 3月8日の会合には、「AbemaTV」を運営する「サイバーエージェント」(藤田晋社長=新経済連盟副代表理事)の小池政秀常務が出席。「放送法が緩和されることによって、われわれの流せるものが広がっていくのは、すごくうれしい話になってくる」と発言しました。

 原座長も、3月22日の会合で「放送だと規制がかかり、インターネット放送なら規制がかからない」と安倍首相の主張に沿った指摘をしています。

推進する顔ぶれ

 放送番組の「政治的公平性」や「公序良俗」などを規定した放送法4条を撤廃すれば、沖縄の基地建設反対運動をめぐる番組でBPO(放送倫理・番組向上機構)から放送倫理違反、人権侵害を指摘された東京MXテレビの「ニュース女子」のようなフェイクニュースやヘイト(差別扇動)表現が横行することにならないか―。

 規制改革推進会議の14人のメンバーをみると、その現実味を帯びてきます。「ニュース女子」の司会を務める長谷川幸洋・東京新聞論説委員はじめ、原氏、飯田泰之・明治大学政治経済学部准教授は「ニュース女子」の準レギュラーです。

 第1次安倍政権時代、安倍首相からNHK経営委員長に送り込まれ、「強権的、政治的」と批判を集めた古森重隆・富士フイルムホールディングス会長もメンバーです。

 一方、前出の3月22日の会合で、次世代メディア研究所の鈴木祐司代表は、「インターネットの皆さんが、そのまま放送に来られますと、瞬時に1000万人に届いて、それでフェイクニュースみたいなものが1000万人に行ってしまうというのは、やはり問題がある」と規制の必要性を強調しました。

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