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2018年3月30日(金)

機密費 領収書なし56億円 安倍政権の5年

識者「異常だ」「根本的見直しを」

 第2次安倍政権が発足してから5年間に支出した内閣官房機密費(報償費)約62億円のうち、領収書がいらない「政策推進費」が全体の91%、56億円になることが29日、本紙が情報公開で入手した資料で判明しました。毎月平均9千万円超の公金が領収書すらないまま支出されている異常な実態が浮き彫りとなっています。

 (矢野昌弘)


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 本紙が入手したのは、2012年12月の第2次安倍内閣から昨年末までの官房機密費の支出に関する3種類の文書です。

 これによると、菅義偉官房長官が出納責任者となっている官房機密費は毎年約12億円が支出されています。

3種類の使い方

 官房機密費の使い方には3類型ありますが、菅長官は“つかみ金”の要素がもっとも強い「政策推進費」を5年で56億4460万円、月平均9250万円を支出していました。

 その他二つの「活動関係費」と「調査情報対策費」の支出では領収書が必要で、出納事務に内閣総務官らがたずさわります。二つの支出5年分を合わせても5億5400万円ほど。「政策推進費」の6カ月分です。

 一方、「政策推進費」は、菅長官自身が管理します。しかも領収書が不要となっています。

 税理士の浦野広明さんは「一般社会には通じない異常な使われ方だ。会社で使途が明かせない場合には、法人税に加えて支払金額の40%を『使途秘匿金課税』としてとられている。官房機密費だけがフリーパスになっている現状はおかしい」と指摘します。

写真

(写真)情報公開で入手した2017年3月の支出関連文書。この月に「政策推進費」1億5290万円を使っていたことがわかります

必要な支出か?

 裁判で官房機密費の「政策推進費」を開示させた原告と弁護団は今月、「このような闇ガネの『政策推進費』の管理実態を改めないのであれば、ただちに廃止すべき」などとする根本的見直し要求書を菅長官に送っています。

 「政策推進費」の毎月の支出額をみると、いくつかの法則がありました。毎年3月になると、翌月への繰り越しに1000万円ほどを残して、月平均の1・5倍になる1億4000万円ほどを「政策推進費」にあてることを毎年繰り返していました。また「政策推進費」は毎月8400万円台か9100万円ほどのどちらかになるケースが大半を占めています。

 こうした使い方について、機密費情報公開訴訟弁護団の谷真介弁護士は「定期的に支出した形にして、何かにつかっているのか、官房長官のポケットに入っているのかわからない。何か必要に迫られて支出しているとは思えない」と指摘します。

 官房機密費と情報公開 その支出は長く秘密のベールに覆われ、会計検査院に対しても、領収書を提出することはなく、支払い相手を明かさなくてもよいとなっています。大阪の市民団体「政治資金オンブズマン」が2007年に、不開示決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴。今年1月に最高裁が「政策推進費」に関する一部開示を命じました。判決を受け、今月19日に、官房機密費に関する支出が初めて開示されました。


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