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2018年3月25日(日)

森友疑惑 近畿財務局

交渉記録 以前は保存

OB証言 本省幹部に配布も

1年未満廃棄のルールなし

 学校法人「森友学園」(大阪市)に国有地を格安売却した財務省近畿財務局では、数年前まで国有地の取引相手や国会議員らとの交渉を詳しく記録し、決裁文書と同一ファイルに長期保存していたことを24日までに、財務局OBが本紙に証言しました。森友学園のような特例契約の場合は、記録の写しを本省や財務局長ら幹部にも配布していたとしています。


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(写真)公文書改ざんの舞台となった財務省の理財局長室=東京都千代田区

 証言したのは、近畿財務局で国有財産取引を担当した経験があるOB。同氏によると、取引相手や国会議員らとの交渉は「応接記録書」として文書化することが職員に徹底されていました。担当職員は交渉相手の要望事項やそれに対する応答内容をはじめ、日時、場所などを記録していました。

 「当時は応接記録書を、国有地の貸し付けや売却を決める決裁文書と、申請書の受理日や売払い価格、貸付料の決定など処理の進捗(しんちょく)状況を記述した『事務処理カード』とともに同一ファイルで保管していた」と説明します。

 「事務処理カード」は進捗状況を時系列にして記録、管理したものです。応接記録とともに、同財務局管財部次長らに供覧され、決裁印がおされます。

 森友疑惑では、2015年5月に学園が国有地を10年定期借地し、その間に購入するという特例の貸し付け契約を結びました。このような特例契約の際には、「局長レク」と称して応接記録書の写しを財務局長、同管財部長らにも配布し説明。写しは本省理財局にも提出されていました。

 応接記録書は、会計検査院の検査が終わった後でも、取引相手の要望など肝心な記録は決裁文書とともに残すことがルールになっていたといいます。

 契約書を含む貸し付けの決裁書類は30年間保存とされています。財務省は改ざん前の決裁文書を国会に提出していますが、そのなかに応接記録書は含まれていません。

 これらの記録について、財務省の佐川宣寿理財局長(当時)は、保存期間を「1年未満」で「廃棄した」と答弁しています。このOBは、「当時は1年未満で廃棄するというルールはなかった。佐川氏の答弁には、知り合いのOBたちはあきれていた。現役からも『そんなことはない』という声が上がっていた」と指摘します。(三浦誠)


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