しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月23日(金)

主張

保育園が足りない

安心・安全の認可園の増設こそ

 今年の春も、子どもを預ける保育所(園)が見つからない事態が相次ぎ、各地で父母たちの怒りと現状打開を求める声が広がっています。安倍晋三政権は「1億総活躍社会」を掲げ、その柱の一つとして「待機児ゼロ」をうたいますが、目標達成年度を先送りにするなど真剣さがみられません。毎年、職場復帰を目前にした親から「子どもの預け先がない」と悲鳴が上がる現実は、あまりに異常です。認可保育所の整備を中心にした安心・安全の保育施設の大増設がいよいよ急務となっています。

規制緩和では解決せず

 認可保育所に4月から子どもを入れるため自治体に申し込んでも定員が足りず入所できない―。都市部を中心に厳しい実態が浮き彫りになっています。日本共産党東京都議団が2月末に発表した調査結果では、1次選考で入園が不承諾になった都内の子どもは34区市町村で1万7961人にものぼりました。自治体の努力などで保育所整備は一定行われているものの、追い付かないのが実情です。

 昨年4月、認可保育所に入れない待機児童は全国で約2万6千人に達しました。東京の認証保育所のような認可でない地方単独事業を利用するなどの「隠れ待機児」は約6万9千人います。認可保育所が決定的に足りないことは明らかです。その増設へ政府が知恵と力を尽くすことこそ必要です。

 安倍政権がもっぱら力を入れているのは認可外の「企業主導型保育所」です。企業が主に社員の子どもを対象にした施設で、地域の子どもも一定受け入れることができますが、保育士配置基準などは緩く、不安の声は絶えません。

 内閣府によれば、昨年立ち入り調査が行われた「企業主導型」432カ所のうち7割にのぼる303カ所で基準を満たさないなど、指導が必要でした。保育士が不足している時間帯がある施設などがありました。子どもの安全が確実に保障されないまま、「企業型」ばかり先行させることは問題です。

 さらに安倍政権は、保育士配置や施設面積などで国基準を上回る基準を独自に決めている地方自治体に対し、基準引き下げを迫る動きを強めています。保育の質を引き下げる設置基準の「規制緩和」や、子どもの詰め込みは、子どもの命にかかわる大問題であり、親の願いに完全に逆らうものです。

 保育所増設が進まない背景に保育士不足があります。保育士の退職で人手が足らず突然閉鎖する施設があったり、保育士が確保できずに保育所を開設できなかったりしていることは重大です。問題は保育士の労働が過酷すぎることです。愛知県内の研究者や保育団体が行った実態調査では、名古屋市にある認可施設の正規職員約2700人で時間外労働やサービス残業が常態化していました。給与の引き上げを急ぐことと合わせ、人員配置増などによる業務負担の軽減が不可欠です。政府は処遇改善を本格的にはかるべきです。

必要な財源を確保して

 待機児問題の根本的打開策をとらず、「保育料無償化」をめぐり認可・無認可で「線引きする」議論を持ち出す安倍政権の姿勢に、国民は強い違和感を抱いています。

 待機児解消、保育料無償化の実現に向け、消費税に頼らず財源を確保するなど、安心・安全の子育て政策への転換が求められます。


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