しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

2018年3月21日(水)

小川原湖 尽きない不安

米軍機タンク投棄1カ月

訓練見上げ「漁再開しても…」

 米軍三沢基地所属のF16戦闘機が小川原(おがわら)湖(青森県東北町)に燃料タンクを投棄した事故から、20日で1カ月。部品回収はほぼ終了しましたが、漁獲による収入は途絶えたままで、漁師、加工・販売業者、流通や飲食店など地域経済に暗い影を落としています。(青森県・藤原朱)


写真

(写真)漁再開へ準備する、漁師=20日、小川原湖(青森県東北町)

青森・東北町

 氷が解けた湖の様子を見に来た町民(78)は「ワカサギ釣りや旬のシジミを楽しみにする観光客が減り、町は損失。漁師さんへの補償だけでも早く進めてほしい」と語ります。

 事故は2月20日、シジミ漁をしている漁船の近くにタンク2個が落下。小川原湖漁業協同組合は、水質や魚介類の安全性が確認されるまで漁の全面禁止を決めました。町は米軍に抗議し、事故原因究明と飛行中止を求めましたが、米軍は漁協や町に謝罪せず、翌日から通常訓練を強行しました。

 町議会は6日、国に事故原因の徹底究明・再発防止、速やかな原状復旧、減収・休業の補償を求める意見書を全会一致で採択し、怒りが広がりました。

 日本共産党の市川俊光町議は「基地周辺で暮らす危険を感じた事故。補償含め、米軍機の事故防止対策を求めていく」と話します。

 「長く漁をしているけど、こんなに休んだことはない」。シラウオ漁50年余の漁師(72)は20日、湖で網を掃除する作業をしていました。

図

 小川原湖の漁師は約400人。シジミ、ワカサギ、シラウオ、ウナギの漁獲量は全国トップクラスです。

 2カ月間の休業に追い込まれた漁師。例年、最低でも月200万円あった売り上げが、事故で奪われました。

 「今月末に消費税を支払わなければならない。漁を再開できても、燃料代や人件費もある。心配は(水揚げに)値がどれだけ付くか」

 米戦闘機の爆音が上空でとどろく中、作業を続ける漁師。「不安は尽きない。『漁解禁まで頑張って』と周りの人も応援してくれている。早く漁がしたい」


pageup