しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月19日(月)

志位さん シングルマザーと対談

生活保護基準引き下げ中止を

質問に首相「偏見なくす」

 日本共産党の志位和夫委員長は衆院予算委員会の基本的質疑(2月5日)で安倍政権の生活保護削減方針をただしました。質問で集会での発言を紹介した、大阪府内のシングルマザーの鈴木あき子さん(仮名)が志位さんを訪ね、対談しました。


お母さんの声 全国に

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(写真)鈴木さん(左)と対談する志位和夫委員長=2月、参院議員会館

 鈴木 国会質問で私の話をあんなに長く読み上げてくださるとは思いもよらなくって、テレビ中継を拝見しましたが感動しました。

 志位 鈴木さんの集会での発言を読んで、一般低所得世帯に合わせて生活保護基準を下げるのがいかにひどいか、胸に迫るものがありました。さすがに自民党議員もシーンとなってヤジもなく聞いていました。ああいう場で、一生懸命がんばっているお母さんの声がテレビ中継で全国に流れること自体、いま起こっていることの意味合いが分かると考えたんです。

 鈴木 生活保護にたどり着くまでは、いまより8キロ痩せていて、すさまじい生活でした。その暮らしぶりを引いて安倍首相に問うていただいたことがうれしかったです。

 志位 これが「健康で文化的な生活」と言えるかと問いただして、政府は「そうです」と言えなかった。生活保護を利用できるようになって一定の安らぎを手にしたのに、また元に戻れという話ですから。

 鈴木 はい。政府、厚生労働省の方々には、実情を分かったうえで生活保護基準を検討していただきたいです。

「確実に保護を適用」

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(写真)衆院予算委員会で質問する志位委員長=2月5日

 志位 安倍首相の答弁は全体としてほめられたものではなかったのですが、最後に「生活保護を受給することへの偏見をなく」すと言った。そして「保護を必要とする方は、確実に保護を適用という方針」だとのべました。これは今後の運動で使えると思います。

 2013年の生活保護基準引き下げのとき、生活保護バッシングの先頭に立ったのは自民党です。野党だったときから安倍首相自身(当時・自民党総裁)が衆院本会議で「額に汗する正直な働き者が報われるよう、不正受給への対策、給付水準の適正化が急務であり、直ちに取り組むべき」(12年10月31日)とさんざんやったんですね。しかし今回の答弁では少なくとも「不正受給」とは言いませんでした。

 鈴木 そうですね。

 志位 そして「偏見をなくす」と約束した。

 鈴木 大きなことだったと思います。

 志位 「偏見をなくす」というのは大事です。これがあるために申請にいかず我慢している人がたくさんいる。あなたの場合はどうでしたか。

 鈴木 私は、生活保護利用者になって子どもを育てていくとは、数年前まで夢にも思っていませんでした。離婚した夫がギャンブル依存症者でお金が底をついてしまっていたんです。それで低所得者ぶりの、ああいう生活をしていました。医療保険が無保険の期間が3年くらいありました。それに私、病気になりまして。いま治療を終え経過観察中なんですが、離婚もしてこれからどうやって生きていこうかと思ったとき、生活保護しかなかったです。

 でも中学生と小学生の娘や学校の担任の先生には話していません。やはりバッシング社会と、偏見のまなざし、恥だという思いがあります。本当は私自身が堂々と、「助けてもらってありがたいんだよ」と言えたらいいと思うのですが。

英文は「生活保障法」

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(写真)志位委員長の国会論戦を収載したパンフレット

 志位 「助けてくれた」というより本当は、権利ですから。言葉の問題はとても大事だと思います。生活保護の「保護」というのが上から目線でよくない。本来は生活保障なんですね。社会保障のひとつ、一番の土台です。

 鈴木 その言葉が私はものすごくうれしくて、質問を聞いていて本当にそうだなと思いました。名称自体が偏見ですよね。

 志位 言葉からスティグマ(恥の意識)や偏見が生まれてくる。実は偏見が生まれてくるようにつくられているんですよ。戦後、生活保護法がつくられたとき、GHQ(連合国軍総司令部)はこの法律を「生活保障法」(Daily Life Security Law)と呼んでいた。日本政府の担当官は「これでは個人の権利が強くなり過ぎて困る」と思って、それを「生活保護法」と訳した。日本語をよく知らなかったのかGHQからとがめられることがなかったという話が残っています。そこから始まっているんですね。

 鈴木 まあ、そうなんですか。

 志位 質問で国連の社会権規約委員会の話をしましたが、英語では「公的福祉給付」(public welfare benefits)という言葉が使われているんです。英語ではそういう言葉になるんですね。

 鈴木 生活保護というのは日本独自の言葉なんですね。

 志位 そうですね。だからこういう言葉はなくしちゃった方がいいと思い、「生活保護を使いやすくするための緊急提案」で、法律の名称を「生活保障法」に変えるという提案をしたのです。

 鈴木 名称はとても大事だと思いました。

 志位 そうですよね。イギリスにしてもドイツにしても、当たり前のように利用されていますから。

 鈴木 日本は諸外国に比べて、捕捉率=生活保護基準以下の収入のうち実際に生活保護を利用している人の割合=が低いと指摘されていましたね。

 私は生活保護を利用して、前ほど気にせずに子どもに食べさせてあげられる。これは母親としてものすごく幸せなことで、心の貯金ができ、私もがんばろうと思えるようになってきました。パートで働いています。なんとか子どもを育てて、自分も元気になっていきたいです。

 志位 鈴木さんが声を上げていただいたおかげで私たちも生の声を知ることができました。ぼくらもしっかりがんばりますので、いっしょにがんばっていきましょう。

 鈴木 はい。ありがとうございました。


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