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2018年3月19日(月)

主張

平昌パラが閉幕

障害者輝く社会に大きな責任

 障害者のスポーツの祭典、パラリンピック平昌大会(韓国)が18日、幕を閉じました。

 史上最多の49カ国・地域から約570選手が参加した大会では、一人ひとりのみせるプレーが、私たちの心をとらえました。

人や国の間に橋かける力

 鍛え抜かれた1本の足で力強くスキーを操るアルペンの選手。激しいぶつかり合いと巧みなスティクさばきに目を奪われたパラアイスホッケーなど、そのたゆまぬ努力と困難に立ち向かう強い心に、思わず目頭が熱くなることもしばしばでした。

 「障害がある人もスポーツを楽しみ、一部の人たちはスーパーヒューマン(超人)だと知ってもらえる。パラリンピックは人や社会の意識を変える大きな力があります」。日本選手団の大日方(おびなた)邦子団長の言葉です。日本や世界の選手は、この面でも重要な役割を果たしました。

 平昌五輪では「平和」「友情」が大きなテーマでした。スピードスケート女子500メートルの小平奈緒選手は金メダルを取った際、2位の韓国・李相花(イ サンファ)選手に「私は今でもあなたを尊敬しているよ」と語りかけました。国を超えて相手を思いやる、五輪精神を発揮した姿はいまも脳裏に焼きついています。

 パラリンピックでも交流、友情の花が咲きました。スキー距離では、初参加の北朝鮮の2選手が大きく遅れてゴールしたものの、そのがんばりをさまざまな国の観客が拍手でたたえました。勝負を争った選手同士で肩を抱き合い心つなぐ光景は、五輪以上に多かったように思います。

 人種、宗教、政治信条の違いを超えて集い、互いを理解し、平和な社会に貢献することは五輪・パラリンピックの大きな意義です。

 1月の大会開催前、緊迫の度を強めていた韓国と北朝鮮の対話が動きだしました。李煕範(イ ヒボム)・平昌五輪組織委員会会長は、五輪での南北選手の交流を踏まえ、「平昌でまいた平和の種は、それほど遠くない将来に大きな木へと育つだろう」と述べました。五輪運動は政治的に対立している国や人々の間にも橋をかける、素晴らしい力を持っています。現実にこの間の南北間の動きが、平和的な対話の扉を開く一歩につながっています。

 パラリンピックでの日本選手の活躍も光りました。アルペンスキーの村岡桃佳選手の5個を含む10個のメダルは目標を大きく上回りました。この4年で障害者スポーツは厚生労働省からスポーツ庁に移管され、環境が変わりつつあります。予算は35億円(2017年度)と4年前から倍加しているものの、少ないスポーツ予算(約330億円)と合わせ、さらなる拡充は不可欠です。

支援体制の拡充を急ぎ

 選手は年間約150万円の遠征費用等の自己負担が重くのしかかっています。専任コーチ制度など支援体制の充実も求められます。車いすの体育館での使用が断られるなどの理不尽な現実は一刻も早く変えなくてはなりません。スポーツに親しめる環境を整えることは、障害者にたいする社会の理解を広げ、その権利を拡大するとりくみと一体不可分です。

 障害のある人と共に生き、輝く社会へ―。2年後の東京五輪・パラリンピックは大きな責任を担っています。


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