しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月19日(月)

きょうの潮流

 体が痛いです。体が辛(つら)いです。気持ちが沈みます。早く動けません。どうか助けてください。誰か助けてください。10年前にみずから命を絶った森美菜さんの手帳に残された心の叫びです▼当時、26歳。夢や希望を抱きながら将来を思い描いていたはず。ところが居酒屋チェーン大手「ワタミフードサービス」の新入社員として働き始め、わずか2カ月後に自殺。心身をすり減らす過酷な労働が原因でした▼明け方まで及んだ連日の深夜勤や休日の研修で、残業は月140時間をこえました。「365日24時間死ぬまで働け」と、ブラック企業の代名詞にもなったワタミ。創業者の渡辺美樹氏は美菜さんの過労死が認定された後、自民党の参院議員に▼安倍政権の“働かせ方改革”が問われる今国会。その渡辺氏が公聴会で質疑に立ち、子や夫を過労自殺で亡くした遺族をさらに傷つけました。「働くのは悪いことか」「週休7日が人間にとって幸せなのか」▼ブラック企業を育てた実業家のゆがんだ労働観の押しつけ。遺族らの抗議で発言の一部については謝罪したものの、撤回は党の判断になると保留したといいます。こんな人物を質問者に選ぶところに自民党や政権の狙いが表れています▼17日の新宿駅前。昨年、過労死が公になったNHK記者の母が「働き方改革」の抗議集会で訴えました。娘は仕事を愛し、一生懸命働いたあげく、未来を失った。心から笑えることができない苦しみをもう誰にも味わってほしくない。命と健康を守る法を―。


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