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2018年3月5日(月)

オスプレイ 奄美の空 我が物顔

昼夜襲う爆音 低空飛行

「操縦席見える」 住民怒り

鹿児島

 鹿児島県の奄美大島では米海兵隊普天間基地所属(沖縄県宜野湾市)の垂直離着陸機MV22オスプレイなどによる昼夜を問わない低空飛行が繰り返されています。襲いかかるすさまじい爆音、墜落事故などへの不安に悩まされる住民の怒りを現地で追いました。(山本眞直)


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(写真)オスプレイの目撃記録を示す寺園タツ子さん=奄美市内の自宅で

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(写真)奄美市沖の小島、鯨松で低空飛行するオスプレイ=2017年8月(田中孝次朗氏提供)

 「見てください」とメモを差し出したのは奄美市浜里の市営住宅に暮らす寺園タツ子さん(78)です。昨年からつけているオスプレイの目撃記録です。

 メモには日時、どこからどこへ飛来したなど、具体的な様子が書き込まれています。

無灯火飛行

 目を引いたのが、今年の1月24日の午後6時台から7時台にかけて飛来した2機のオスプレイです。「1機 ライトつけず 無灯火」とあります。

 同時刻、寺園さんはいつも団地付近でウオーキング中です。

 「夜空には何も見えませんでしたが“あっ、オスプレイだ”と。爆音で分かるんです。しばらくしたらライトをつけた2機目が、地響きのようなすごい爆音を出して私の真上を飛びました。見上げるとクジラのような巨大な機体につぶされると思い、怖くなり思わず両手を頭にかけてその場にうずくまってしまいました。本当に怖かった」

 奄美大島では、2012年にオスプレイが普天間基地に配備されて以来、九州南方のトカラ列島と奄美群島から沖縄を結ぶ飛行ルート「パープル・ルート」が設定され、低空飛行などが日常化しています。

 16年12月に沖縄県名護市の安部海岸に墜落、大破したオスプレイは、奄美大島で低空飛行後、沖縄近海で空中給油に失敗し、事故にいたりました。昨年6月にも奄美空港に「緊急着陸」しています。事故や爆音被害への住民の不安が高まり、島の上空飛行の停止を求め抗議集会が繰り返されています。

 低空飛行は山間部でも繰り返されています。

 同市の南、西田町の農業、田中孝次朗さん(56)は「2日ないし3日の間隔で飛んでくるよ」。畑の東西に連なる山を指さし、「稜線(りょうせん)すれすれに飛び、衝突しないかと怖くなることがある。石を投げれば当たるのではと思う近さで飛び、操縦席も見える」と証言します。

 田中さんは「低空飛行はオスプレイだけではない。大型機も飛ぶ」と目撃談を語ります。「大型機」は、沖縄の嘉手納基地配備の米空軍機でMC130特殊作戦機でした。空中給油機能をもちます。

 2月27日午前にも、田中さんはMC130を目撃。「畑作業中に、爆音が近づいてきたので空を見たら山すれすれに飛んできた」

少女の手紙

 傍若無人な低空飛行は子どもたちにも暗い影を落としています。小学3年生の少女は昨年8月、安倍首相に「オスプレイを飛ばす理由を聞きたい」と手紙を出しました。返事はいまだにありません。

 奄美市議会では、日本共産党市議団が昨年9月議会でこの問題を取り上げています。市長と行政協力員との意見交換会で出席者がオスプレイの夜間低空飛行の騒音被害について発言したことや、小学生の首相への手紙にふれ、市民の目撃情報の把握、飛行経路などの資料の蓄積について質問。市側は「関係機関と連携を図る」としました。

 2月19日開会の第1回定例市議会で普天間基地所属機の飛行停止を求める市民からの陳情を市政与党が反対、総務企画委員会で不採択としたものの、議員提案での同趣旨の意見書決議には対応する動きも見せています。


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