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2018年3月5日(月)

違憲としてきた「敵基地攻撃能力」へ政府加速

無制限な武力行使へ安倍改憲の危険鮮明

参院予算委 小池書記局長の基本的質疑

 海上自衛隊最大の艦船「いずも」を「攻撃型空母」に改修して、F35Bステルス戦闘機を運用可能にする―こうした調査・研究が行われているという衝撃的な事実が明らかになりました。2日の参院予算委員会で、日本共産党の小池晃書記局長に対して、小野寺五典防衛相が認めたもの。自衛隊を「合憲」としてきた歴代政権でさえ「違憲」としてきた「敵基地攻撃能力」保有の動きが加速しています。憲法9条が改悪されたら、こうした兵器の保有は無条件で「合憲」となり、無制限の海外での武力行使が法制・能力の両面で可能となります。


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(写真)安倍首相らに質問する小池晃書記局長(右端)=2日、参院予算委

F35B戦闘機の搭載研究

「いずも」を攻撃型空母に

初めて認める

首相 さまざまな検討は当然

小池 事実上F35B導入の検討を認める発言だ

 小池氏が示したのは、海上幕僚監部が2016年度に公募した「DDH(=ヘリコプター搭載型護衛艦)の航空機運用能力向上に係る調査研究」の仕様書です。「ひゅうが型及びいずも型護衛艦について、航空機の長期間、多数機、多機種による連続運用」について検討することとしています。

 小池氏は、小野寺氏が衆院での質疑で、調査研究の応募要件として「新種航空機を運用するために必要な機能や性能を評価、検討する能力が必要」であり、「新種航空機」は「最近開発された航空機を念頭に置いている」と答弁したことをあげ、「新種航空機にF35Bは含まれるか」と追及しました。

 小野寺 「ひゅうが」「いずも」型は現在、有人ヘリを運用しているが、運用していない有人の固定翼機や無人の回転翼機や固定翼機について調査している。米軍が運用しているものとして、艦艇に離発着できる短距離離陸・垂直着陸機としてF35B、回転翼無人機としてMQ8C、固定翼無人機としてRQ29Aを調査している。

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(写真)安保法制に関する海上自衛隊の内部文書。米軍ヘリが海自のヘリ搭載型護衛艦から離着陸して戦闘作戦を行うというイメージ図

 一瞬、委員会室が静まり返りました。昨年来、「いずも」でのF35B運用に関する報道が相次いでいましたが、「調査」の事実が初めて公になったからです。

 小池 極めて重大だ。いままで「空母化」はない、F35Bは念頭にないと言ってきたが、今日初めて、F35Bも対象にしていると…。

 政府は「自衛のための必要最小限度」を超える攻撃型兵器の保有を禁じており、その具体例の一つが「攻撃型空母」です。

 「攻撃型空母」とは何か。小野寺氏は1988年10月20日の政府見解(日吉防衛局長答弁)を引用しました。

 小野寺 大きな攻撃能力をもつ多数の対地攻撃機を主力とし、援護戦闘機や警戒管制機等を搭載して、その性能上、もっぱら相手国の国土の壊滅的破壊にのみ用いられるものが該当するという答弁をしている。

 小池氏は加えて、日吉局長が「攻撃型でない空母として、潜水艦哨戒を主たる目的とした対潜ヘリを搭載して海上の哨戒を主たる目的とする艦艇」だと答えたことも指摘。これに照らせば、精密誘導兵器など多数の兵器を搭載し、対地攻撃を行うF35Bの運用は、「いずも」を憲法違反の攻撃型空母に変ぼうさせるものです。

 小野寺氏は、「F35Bの導入を前提にしているわけではない」と逃げましたが、安倍晋三首相はF35Bの運用に関する調査を正当化した上、事実上、導入の検討を認めました。

 小池 次期中期防衛力整備計画で、F35Bの導入を検討しているのか。

 安倍 導入を前提にしているわけではないが、「いずも」の拡張性についてさまざまな検討を行うのは当然だ。危機が生じてから装備を導入するというのは泥縄式になる。

 小池氏は、「事実上導入を認める発言だ。F35Bを検討対象として認めた。これは重大だ」と厳しく批判しました。

防衛相 (強襲揚陸艦保有否定せず)

小池 「いずも」改修を憲法上認める重大答弁だ

 「攻撃型空母」に該当しうる米艦船としては、原子力空母に加え、F35Bの運用を開始している強襲揚陸艦があります。今年1月、佐世保基地(長崎県佐世保市)に配備された強襲揚陸艦ワスプは全長253メートルで、「いずも」(248メートル)とほぼ同じです。

 小池氏は、小野寺氏が2014年7月に米海軍サンディエゴ基地を訪問し、最新鋭の強襲揚陸艦「マキン・アイランド」を視察した際、「防衛大綱・中期防の中で、このような輸送艦について検討することを決めている」と述べたことをあげ、「ワスプのような強襲揚陸艦なら憲法上保有は可能だということか」とただしました。

 小野寺 強襲揚陸艦ワスプが憲法に抵触するような攻撃型空母に該当するか否かについては、そのときどきの国際情勢を踏まえる必要がある。東日本大震災で多機能を持つ強襲揚陸艦エセックスが救援活動を行った。このような多機能艦艇があれば、大規模災害や水陸両用作戦で能力向上を図れると考え、「多機能艦艇のあり方」について中期防衛力整備計画に明記した。

 小野寺氏はこう述べ、保有は否定しませんでした。

 小池 強襲揚陸艦の保有を否定しなかった、F35Bも対象だ。これは「いずも」を強襲揚陸艦に改修することも憲法上認めるという重大な答弁だ。

 また、災害対処を口実にした点について、小池氏は「中期防には『水陸両用作戦を兼ね備えた多機能艦艇』としており、災害対応だとは書いていない。そもそも強襲揚陸艦は災害対処のための船ではない」と反論しました。

小池 自衛隊が空母を保有し、その空母から米軍機が戦闘作戦を行っても、国民には何も知らされないことに

 「いずも」をF35B運用可能にした場合、浮上するのが、米軍との一体運用です。

 小池氏は2015年の安保法制=戦争法審議の際、独自入手した海自の内部文書を示して追及しました。

 そこには、海外での米軍主導の戦争に対して自衛隊が兵たん支援を行う「重要影響事態」と「国際平和共同対処事態」の際、米軍のヘリが敵潜水艦を攻撃した後、自衛隊の「ヘリ空母」に戻って燃料給油を行うという「イメージ図」がありました。

 小池 当時の中谷防衛大臣は、安保法制が成立すれば、こういった活動が可能になることを認めた。この米軍ヘリがF35Bに置き換わっても、法制上は実施可能か。

 小野寺氏は、現在、「いずも」などはF35Bの運用能力を持っていないとして、法制上可能かどうかについては答えませんでした。しかし、仮に運用能力を持てば、可能になるのは明らかです。

 しかも、政府は安保法制に基づき、昨年から米軍の「武器等防護」と称して米艦防護、航空機防護を開始しましたが、いつ、どこで実施したのか、いっさい明らかにされていません。

 小池氏は、「このままでは、自衛隊が空母を保有し、その空母から米軍の戦闘機が離着陸し戦闘作戦行動を行っても、国民には何も知らされないということになりかねない」と厳しく批判しました。

小池 こんな中で9条に自衛隊を書き込んだら、何の制約もなく海外で戦争する国になる。改憲発議は絶対に許さない

 安倍政権は昨年、長距離巡航ミサイルの導入を決定。「敵基地攻撃ではない」と弁明しますが、これに先立ち、自民党は政府に対して、「敵基地反撃能力」の保有を提言。その例として、長距離巡航ミサイルをあげています。これに続いて、「攻撃型空母」に該当する「いずも」でのF35B運用に向けた「調査」です。「憲法の制約」という、たがが外れた動きです。

 安倍首相は憲法9条改憲案の年内提出を狙っています。その内容は戦力不保持を明記した2項を残した上で、自衛隊(自衛権)を明記するというもので、「憲法に自衛隊を明記しても、自衛隊は今とまったく変わらない」などとしています。

 しかし、小池氏が追及したように、すでに9条改憲をあてこんだ敵基地攻撃能力保有の動きや、米軍との一体化が加速しています。こうした動きは、現時点では9条との矛盾を抱えたままですが、9条改憲が強行された場合、大手を振って強行されるのは目に見えています。

 小池 空母も持つ、巡航ミサイルも持つ、F35Bも持つ、安保法制を強行して、歯止めなき大軍拡をすすめて、「専守防衛」の建前さえ投げ捨てて、そして米軍と一体になった軍事行動を展開しようとしている。こんな中で9条に自衛隊を書き込んだら、なんの制約もなく海外で戦争する国になってしまう。絶対にこんなことは許されない。憲法9条の改憲のための国会発議は絶対に許さない。


戦前の旧日本軍は空母も爆撃機も大量保有

「敵基地攻撃能力」保有なら周辺国の反発必至

 戦前、アジア太平洋地域への侵略戦争を繰り返していた旧日本軍は、現在は保有が許されていない「敵基地攻撃能力」を膨大に保有していました。

 海軍は当時、世界でも最大規模となる25隻の空母(航空母艦)を保有。艦上には空母艦載機=ゼロ戦が搭載され、太平洋戦争の発端となった1941年12月8日の真珠湾攻撃も、ハワイ沖に展開した空母から出撃したゼロ戦などが実行しました。38年から43年にかけて、200回以上にわたって行われた中国・重慶への空爆など、アジア各地で無数の市民の命を奪った空爆では、多くの重爆撃機が投入されました。

 こうした歴史的経緯があるため、日本で「敵基地攻撃能力」保有の議論が出されるたびに中国や韓国などが強く反発。日本政府が「いずも」改修に乗り出せば、強い反発が予想されます。さらに、中国が日本の敵基地攻撃能力保有を軍拡の格好の口実として利用するのは確実で、「軍事対軍事」の悪循環をもたらします。

「攻撃型空母」への歩み

 防衛庁(現・防衛省)は2003年、新たなヘリコプター搭載型護衛艦(DDH)の設計案を公表。その姿は米空母や強襲揚陸艦のような真っ平らな甲板で、航空機の離着陸が可能なものでした。全長も海上自衛隊が保有する艦船で最大の197メートル。当時から「ヘリ空母」などと呼ばれていました。

 防衛庁は導入目的について「長期間にわたるインド洋での(米軍などへの)協力支援活動」などの海外任務に「柔軟に対応し得る」ためと説明。当初から、海外派兵での活用が想定されていました。

 09年に1番艦の「ひゅうが」、11年に同型の「いせ」が就役。15年には、全長が248メートルと、さらに巨大化した「いずも」、17年に同型の「かが」が就役。海自は現在、ヘリ搭載護衛艦を4隻保有しています。

 今後、「いずも」などをF35Bの運用可能にした場合、(1)自衛隊がF35Bを保有する(2)岩国基地に配備されている米海兵隊のF35Bを運用する―といった選択肢が考えられています。

 F35Bは敵のレーダーをかいくぐり、敵地の奥深くまで侵入して攻撃を行うことを主任務としています。同機の導入自体が明確な憲法違反です。

「敵基地攻撃能力」とは

 憲法9条は「陸海空軍その他の戦力の保持」を禁じていますが、歴代政府は自衛隊について、「自衛のための必要最小限度の実力」であり、「戦力」ではないと説明してきました。こうした説明と憲法との整合性を保つために、「自衛のための必要最小限度」を超える「敵基地攻撃能力」を保有できないとしてきました(下表)。現在も、これらの見解は維持されています。

 「誘導弾等による攻撃を受けて、これを防御する手段がほかに全然ないというような場合、敵基地をたたくことも自衛権の範囲に入るということは、独立国として自衛権を持つ以上、座して死を待つべしというのが憲法の趣旨ではない…その危険があるからといって平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、衆院内閣委、伊能防衛庁長官)

 「性能上専ら相手国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられるいわゆる攻撃的兵器を保有することは、…いかなる場合にも許されず、たとえばICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母を自衛隊が保有することは許されない」(1988年4月6日、参院予算委・瓦防衛庁長官)


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