しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月1日(木)

主張

予算案の採決強行

「誠実」「円満」の言葉はどこへ

 裁量労働制をめぐるデータの捏造(ねつぞう)などずさんな実態が明らかになった「働き方改革」一括法案の国会提出断念を求める声は高まるばかりなのに、それに応じず2018年度予算案の衆院通過を強行する―。安倍晋三政権と自民・公明の与党の乱暴極まる姿勢に怒りを禁じえません。野党6党が求めた裁量労働の実態再調査、「森友・加計」疑惑での証人喚問要求などにもまともに回答しないまま、数の力で押し切る姿勢は、首相らが口にした「誠実な対応」「円満な国会運営」などとあまりにかけ離れたものです。民意無視の暴走を絶対に認めるわけにはいきません。

「反対」の声が広がる中

 比較してはならないデータを比べて裁量労働制の方が一般労働者より労働時間が短いかのようにでっち上げる。しかもその基礎になったデータそのものがずさんとしか言いようのないものだった―。裁量労働制をめぐる安倍政権のデータ捏造問題に国民の不信と怒りは広がり続けています。

 それはマスメディアの世論調査でも一層鮮明になっています。裁量労働制の拡大に「反対」は57%で、「賛成」の18%(「毎日」)を大きく上回り、政府の説明に「納得できない」は66%、実態の再調査についても「必要がある」が75%(「日経」)に達しています。

 この声に逆らい続けてきたのが安倍政権です。データのでたらめな実態が明らかになった以上、裁量労働制の拡大を柱とする「働き方」法案の国会提出を断念するのがスジなのに、首相らは法案を提出し成立させることに固執しています。

 国会での野党6党の結束した厳しい追及や、世論の批判が集中するなか、首相は「きっちり実態把握しない限り、政府全体として前に進めない」(28日)などと言わざるをえなくなりました。それならば、法案提出そのものをきっぱりやめることこそ直ちに決断すべきです。

 衆院予算委員会の審議では、裁量労働制拡大をめぐる問題が次々と発覚し、このデータにもとづく法案を「最重要課題」として推進する首相の責任が問われ続けました。それにもかかわらず、再調査をおこなわず首相の責任もあいまいなまま、予算案通過に突き進む姿はあまりに異常です。野党6党の要求に耳を貸そうとしない安倍政権と与党のやり方に道理はありません。

 安倍首相は裁量労働制拡大について「自分の能力や才能を生かしながら働くうえで必要」と正当化しますが、全くのごまかしです。過労死で家族を失った遺族らが繰り返し訴えているように、労働者には裁量などなく「長時間労働を余儀なくされる。その果てに死人が出る」のが実態に他なりません。

安倍政権さらに追い詰め

 裁量労働制の拡大など「働き方」法案の旗をふるのは経団連など財界です。それは、この法案が労働者代表のいない官邸主導の産業競争力会議などで、大枠が決められた経過などからも明白です。

 財界の要求にひたすらこたえ、労働者の健康と命を脅かす安倍政治にストップをかける時です。「働き方」法案の提出スケジュールは当初より大幅に遅れています。追い込まれているのは安倍政権です。法案の提出断念へ、世論と運動をさらに広げることが急務です。


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